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「美しい」とか「素晴らしい」とか、そういうほめ言葉を与えられる女性になって欲しいな――松田光弘(ファッションデザイナー)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、ファッションデザイナーが語る理想の女性像に迫ってみましょう。

文・澁川祐子

1978年9月10日号「ファッションはデザイナーにとって女性論である。」より
1978年9月10日号「ファッションはデザイナーにとって女性論である。」より

「美しい」とか「素晴らしい」とか、そういうほめ言葉を与えられる女性になって欲しいな――松田光弘(ファッションデザイナー)

<デザイナーは洋服を通してものを言う>。そんな宣言からはじまる巻頭のファッション特集。山本耀司、川久保玲、ヨーガン・レール、稲葉賀恵など名だたるファッションデザイナーたちに新作を紹介してもらいながら、どういう女性に着てほしいかをインタビューしてまとめています。

働いて自立している女性。自分の生活を大切にしている女性。男に影響されない女性。人生を楽しんでいる女性ーー。さまざまな理想の女性像が語られますが、共通点を探すなら「主体性のある女性」ということになるでしょうか。なかでも印象的だったのが、ニコルを起ちあげた松田弘光さん(1934-2008)の言葉です。

とくに24、25歳の女性に言いたいと前置きしてから、「かわいいね」と言われて喜ぶのではなく、「美しい」「素晴らしい」と言われる女性になってほしいと訴えています。やはり他人から愛でられる存在であるよりは、しっかりと自分の芯を持っている女性を評価しているということでしょう。

自分のお金を使ってものを買い、男性とも積極的に付き合う。ファッションもブランドものに頼るようなイージーなことはしない。そうしていろいろな経験を積んで中身を磨いていけば、どんな洋服だって着こなせるようになるといいます。

「かわいい」より「美しい」と言われる女性。その言葉の陰には、年齢を重ねていく女性たちへのエールが少なからず含まれているのではないかと思うのです。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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