テクノロジーアートを都市に実装する実験。「MEDIA AMBITION TOKYO 2016」が開催中。
「いま」知っておくとちょっとイイこと、をテーマにお届けしている「クロワッサン倶楽部ニュース」。今日はこんなニュース、いかがですか?
文/古庄香哉(クロワッサン倶楽部読者モデル)
空飛ぶ車に、超高層立体交差点…子どもの頃、漫画の中に描かれていた「21世紀型未来都市」のようには、期待したほどインフラ整備されていない気がする2016年現在。けれども、アートの世界では、どんどんと進化中。光、投影、センサー、ウェアラブル機器といったテクノロジーを使って、東京の街に、未来を実装する…そんな刺激的な展覧会「MEDIA AMBITION TOKYO 2016」が、3/21(月)まで開催されています。
第4回目となる今年は、開催エリアを拡大。六本木を中心に、青山・銀座・飯田橋・御茶の水・お台場・天王洲など、都内各所を舞台に、最先端のアートや映像、音楽、パフォーマンス、ハッカソンやトークショーが繰り広げられます。
メイン会場の一つである「六本木ヒルズ森タワー」では、天空にほど近い超高層展望デッキ「52階 東京シティビュー」に、11作品が展示されています。どの作品にも、今まで見たことがない、聴いたことがない、触ったことがない、驚きの体感型アートが詰め込まれています。
例えば、「The Mirror」。ハコスコと呼ばれるダンボール製のヘッドマウントディスプレイを装着し、その中に内蔵されたスマホ画面と、大型スクリーンを見る作品です。ハコスコを覗いて内蔵画面を見ると、上下左右360°見渡せる仕掛けになっていますので、まず没入感に感激します。画面の中の仮想空間に、自分が入り込んだような気になります。
少しだけ作品の種明かしをします。収録済の、ダンサーや街角といった「過去」の映像、作品内に設置されたカメラで中継される「リアルタイム」の自分、加えて、わずかな時差を加えて映される「ちょっと前」の自分。これらが、その場で各画面に合成されます。さっきまで、(画面を通して見ても)リアルタイムに動いていた自分の指先が、数秒遅れて映るだけで、いま自分は何をしているのか、どこにいるのか分からなくなる。そこにはいないはずのダンサーが、自分の背後や足元に、分身しながら現れシンクロすると、自己と他者の境も分からなくなってくる。
見覚えある街の名所が走馬灯のように連写され、日常風景と仮想空間もあいまいに。これまで「当たり前」としていた自分の脳回路が、リセットされていく感覚の中で、あなたは、未来型の「鏡」に、何を見ると想いますか?
これまで技術力が重視されてきた「ものづくり」の分野にも、アートの要素が、デザインとして組み込まれているようです。作品「handiii / HACKberry」は、直感的に動かせる電動義手。開発に必要な「筋電」技術そのものは、戦前からありましたが、非常に高価で普及率は低かったそう。その状況を、3Dプリンタとスマートフォンを活用することで、打破。材料費は、3万円以内に抑えられました。
デザイン面においても、ユーザーの好みで、色やパーツが変更できたりと、ファッショナブルな工夫がなされています。指先にICチップやマイクを組み込むと、通信もできます。身体が機械によって機能拡張される様には、芸術的な美しさが感じられます。
3/11(金)〜13(日)には、テレビ朝日前けやき坂のパブリックアート「Counter Void」が、5年ぶりに再点灯されます。2011年の東日本大震災から、丸5年が過ぎようとしている今。期間中に開かれる参加型プログラムやトークセッションを通して、私たちは、未来の生き方や人間のあり方をどう考えるのでしょうか。3.11以来、久々に灯された白と黒の動き続ける光を目の前にして。
様々なテクノロジーアートに溢れた「MEDIA AMBITION TOKYO 2016」。あなたは、どの会場に出かけ、そして、どんな都市の未来を見てみたいですか。
「MEDIA AMBITION TOKYO 2016」
【場所】都内各所
【期間】2016年2月26日(金) 〜 3月21日(月・祝)
【時間】会場によって、開閉場時間は異なる※
【入場料】会場によって、無料もしくは有料※
※詳細を確認してください。
【詳細】http://mediaambitiontokyo.jp