くらし

今をときめく注目の女方、歌舞伎俳優、中村米吉さんインタビュー。

気品があふれ愛らしい歌舞伎の女方。次世代を担う時分の花をそなえた華やかな女方の中村米吉(よねきち)さんが歌舞伎の魅力を解説。素顔も明かしてくれました。
  • 撮影・青木和義 ヘア&メイク・髙橋 貢

歌舞伎は夢。豪華な衣裳を観に来るだけでも楽しいです。

昔、祖母から“あなたの手は女方に向いてるかもね”と言われたという米吉さん。

「そんな言葉を真に受けて、はじめは立役とどちらも、なんて考えていました。でもスタートの遅かった僕に両立は無理だと思って、女方を中心に勉強しようと決意しました。女方は、肩甲骨をくっつけて肩を落としたり、膝を折ったり、お尻を落としたり、体を華奢に見せる工夫が昔から伝わっています。手も親指をしまって小さく見せているんですよ。

令和3年1月歌舞伎座『壽浅草柱建』大磯の虎。兵庫髷に滝と桜、紅葉の打掛、鮟鱇帯の豪奢な衣裳。

女方にとっては、若くきれいな時が花なのかもしれません。でもしっかり学べば、若い頃にはない芸の力で本当の魅力のようなものが身につくと信じてつとめています。

10月は歌舞伎座の第一部『天竺徳兵衛新噺(てんじくとくべえいまようばなし)』に小平次の妹おまきで出させていただきますが、これは10年ぶり。その間の勉強を試される時です。ご観劇の際には歌舞伎座の裏のバナナジュースが、美味しくてオススメです(笑)」

中村米吉

中村米吉 さん (なかむら・よねきち)

歌舞伎俳優

1993年生まれ。中村歌六の長男。2000年、歌舞伎座で五代目米吉を襲名し初舞台。可愛すぎる女方と呼ばれる。生まれ変わったら天敵のないシャチになりたいそう。

『クロワッサン』1054号より

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