朝8時は要注意!?
毎日の減塩テクニックvol.1。
うまく減塩する生活のヒントと、いろいろな料理に応用できる調理の基礎となるテクニック。日々使えるコツを女子栄養大学・栄養クリニック教授の蒲池桂子さんに教えてもらいました。
「いま減塩がクローズアップされているのは、日本人の高齢化が急速に進んでいることが大きく関係しています。高血圧や生活習慣病のリスクは男性が45歳以上、女性が55歳以上になると高まってくるんですね。減塩は血圧を直接的にコントロールでき、肥満や高血糖がもたらすさまざまな病気を回避することにもつながると言われています。でも減塩は意識しないとできません。カップめん1個で約5g とか、「おいしいもの」は塩分も多いので、不用意に摂り過ぎてしまうのです。私も50歳を過ぎ、生活習慣病の予防のために減塩生活を送っています。作る料理は超薄味で、とてもほかの人にはすすめられないんですけど(笑)」。
Q.
朝昼晩、1日3食のうち、塩分に要注意なのは、どの食事ですか?
いつ何を食べたら一番いいのかというようなことを、人間の体内時計に則して研究する時間栄養学によると、朝8時ごろの食事の塩分量が多いと血圧が高くなりやすいことがわかってきました。日本人は伝統的に塩鮭や漬物、味噌汁といった朝食を食べてきましたが、朝はなるべくしょっぱいものは控えたほうがいいでしょう。朝昼よりも夕食のほうがちょっと塩分が高くてもいいと言われています。
Q.
3日外食が続いたから3日塩分を控えようなど、1週間で帳尻を合わせることはできますか?
A.
1日10gの塩分摂取を続けていた人が減塩でいきなり1日3gにしたとしても、それが体に定着するには3日〜1週間かかると言われています。3日ぐらいのスパンならば、帳尻合わせしても健康に悪影響は及ぼさないでしょう。ただし、味覚は塩辛さに慣れると塩味を感じにくくなってしまうもの。せっかく減塩の薄味に慣れてきたところで、塩分の多い外食が続くともとの木阿弥になる恐れも。減塩での帳尻合わせは、カロリー調整のようにはなかなかうまくいかないと思います。
Q.しょっぱくなってしまった料理を薄くするにはどうすればいいですか?
塩を入れ過ぎてしまったときにバランスが悪くなるのはうまみなので、汁物ならだしを加えて薄めるという方法でけっこうおいしくなります。キャベツ、玉ねぎ、トマトなどの、だしにもなる野菜をザクザク切って入れ、とにかく量を増やすことですね。ただし、それを2回か3回分の料理として食べること。薄くしても1回で全部食べ切ったら、結局、塩分摂取量は同じになってしまうので注意してください。
Q.塩分の強いものを食べたときはどうすればいいですか?
A.塩分は約1〜2日で尿となって排出され、体は一定の塩分濃度を保つようになっています。そのためには水分を摂ることも大事なポイントですが、むくみが気になったら、利尿作用のあるきゅうりやりんごなどを摂るといいでしょう。2日ぐらい塩分を控えると体調が戻ってきます。塩分の排出をスムーズにする方法として、カリウムを摂るとよいと言われています。カリウムが多いのはほうれん草、トマト、キャベツなどの野菜、バナナやキウイといった生果や干し柿や干しあんずなどにも多く含まれています。
だしの効果は絶大!
毎日の減塩テクニックvol.2はこちらから。
https://croissant-online.jp/topics/39154/
◎蒲池桂子さん 2003年4月、女子栄養大学栄養クリニック主任に。生活習慣病栄養相談や企業向け栄養コンサルティングなどを行っている。
『クロワッサン』911号(2015年10月25日号)より
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