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日本酒のプロに聞く、いいこと尽くしの「お燗」の愉しみかた

日本酒を温めて飲む「お燗」。体がポカポカになるうえ、翌日にお酒が残りにくい!と、いいこと尽くしの燗酒(かんざけ)に注目が集まっています。今回、朝日酒造「久保田」主催のペアリングイベントに参加し、日本酒のプロに燗酒の愉しみかたを教えてもらいました。

撮影・文 藤井存希

燗酒が主役!「久保田」 × ミシュラン東京掲載「赤坂 渡なべ」のペアリングイベント

ぐつぐつと煮立った「聖護院かぶら 大黒しめじ 九条葱 かき 羽太 生姜」と合わせたのは、燗酒にした「久保田 萬寿」。
ぐつぐつと煮立った「聖護院かぶら 大黒しめじ 九条葱 かき 羽太 生姜」と合わせたのは、燗酒にした「久保田 萬寿」。

世界でも珍しい、飲み方に“温度帯がある”お酒、日本酒。

温めた燗酒は体の血行を良くし、内側から温めます。また、体温に近い温度のため冷酒よりもアルコールが早く吸収されるので、飲み過ぎを防ぐ効果もあるのだとか。

今回は、主催する朝日酒造「久保田」の酒と、会場となった「赤坂 渡なべ」の料理とともに、燗酒と和食のペアリングの愉しみかたを知るべく、イベントに参加してきました。

「赤坂 渡なべ」は『ミシュラン東京』のセレクテッドレストランに2024・2025年と2年連続で選ばれた和食料理店。店主・渡邊雄二郎さんは朝日酒造と同じ新潟出身。
「赤坂 渡なべ」は『ミシュラン東京』のセレクテッドレストランに2024・2025年と2年連続で選ばれた和食料理店。店主・渡邊雄二郎さんは朝日酒造と同じ新潟出身。

今回のイベントでは、旬の味覚を会席仕立てにした特別コースと、久保田の代表銘柄「千寿」「萬寿」シリーズの中から数種類の燗酒を合わせていきます。

燗酒を担当するのは、JSA SAKE DIPLOMA認定資格を有し、国内外で日本酒の魅力を伝えている酒匠の佐藤厚一郎さん。

日本ガストロノミー協会の理事も務める酒匠の佐藤厚一郎さん。
日本ガストロノミー協会の理事も務める酒匠の佐藤厚一郎さん。
本イベントのメニュー。「一献」としてビーツのドリンクが供され、スタートです。
本イベントのメニュー。「一献」としてビーツのドリンクが供され、スタートです。

前肴は、朱色の漆器に盛り合わせた、ふぐの白子の茶碗蒸し、鱒の助砧巻き、無花果を練り込んだチーズなど。合わせるお酒は、「久保田 千寿 吟醸生原酒」をロックと燗の、2つの温度帯で。氷入りでまろやかさを増した生原酒は冷菜と合わせ、60度の熱燗は熱々の茶碗蒸しといただきます。

日本酒のプロに聞く、いいこと尽くしの「お燗」の愉しみかた
店主・渡邊さんの出身地でもある新潟県のお菓子「ハッピーターン」は、あん肝にディップ。Wマーク入りの専用の漆器にも遊び心が。
店主・渡邊さんの出身地でもある新潟県のお菓子「ハッピーターン」は、あん肝にディップ。Wマーク入りの専用の漆器にも遊び心が。
日本酒のプロに聞く、いいこと尽くしの「お燗」の愉しみかた
店主・渡邊さんの出身地でもある新潟県のお菓子「ハッピーターン」は、あん肝にディップ。Wマーク入りの専用の漆器にも遊び心が。

「お酒の温度と料理の温度を合わせるのがポイント」と佐藤さんが言うように、鍋や汁物、おでんなど、冬の食卓に登場するメニューは燗酒と相性が良いのだとか。

一番出汁を久保田 千寿(燗)で割った出汁割り。
一番出汁を久保田 千寿(燗)で割った出汁割り。
出汁割りは赤羽にあるおでん屋が始まりとも言われているとか。
出汁割りは赤羽にあるおでん屋が始まりとも言われているとか。
一番出汁を久保田 千寿(燗)で割った出汁割り。
出汁割りは赤羽にあるおでん屋が始まりとも言われているとか。

燗酒ペアリングに欠かせない、出汁割りも登場。昆布とまぐろ節から引いた一番出汁の「お椀」に合わせます。

家庭で作るなら「出汁に対して1/4の量の熱燗を入れるのが適量。出汁パックで濃いめにとったり、鍋の残り汁を使うのもおすすめ」(佐藤さん)

「ずわいかに 柚子釜みそ焼き」には、70度まで熱した「久保田 萬寿 自社酵母仕込」の熱燗。
「ずわいかに 柚子釜みそ焼き」には、70度まで熱した「久保田 萬寿 自社酵母仕込」の熱燗。

終盤に登場したのは「ずわいかに 柚子釜みそ焼き」と「久保田 萬寿  自社酵母仕込」の熱燗。

ずわいかにの旨みを閉じ込めた柚子釜は、一口めはそのままで。二口めに70度の熱燗を合わせると、柚子釜の味わいが幾層にも重なっていくかのよう。まさに“別物”を食べているような変化です。

「萬寿 自社酵母仕込を70度まで上げると、特有の穀物感が味噌の味わいに寄り添う。『久保田』は雑味がない澄んだお酒と表現されますが、それは自社酵母の上品さ、醸造技術の賜物です。温度を上げても嫌な要素が出てこないので、燗酒にも合うんですね」(佐藤さん)

「道明寺椿もち 甘酒アフォガード」
「道明寺椿もち 甘酒アフォガード」

甘味は、温かい甘酒とチョコレートアイスのアフォガード。

イベントでは久保田の酒粕を使った甘酒でしたが、市販の甘酒でも代用可能だそう。目を見張るほどおいしい絶妙なペアリングで、さらに自宅でも真似しやすいのが嬉しい!

最後に、自宅で燗酒を作る際のポイントを佐藤さんに伺いました。

1. アルコールが飛ばないように短時間(2~3分)で燗にする

2. 「燗冷まし」は、いったん高い温度に上げてから自分の好きな温度まで下げる

簡単な熱燗の作り方:電気ケトルで湯を沸かし、スイッチをオフにしたあと徳利やチロリ(日本酒を温めるときに使う酒器)を器ごと入れて好みの温度に仕上げる

奇数月に開催される「久保田 千寿」「久保田 萬寿」シリーズを愉しむペアリングイベント。次回は「お花見」がテーマ。
奇数月に開催される「久保田 千寿」「久保田 萬寿」シリーズを愉しむペアリングイベント。次回は「お花見」がテーマ。

「赤坂 渡なべ」では「久保田 千寿」「久保田 萬寿」シリーズを愉しむペアリングイベントを定期的に開催。上質な料理と理論を基に、ユニークな日本酒のペアリングを愉しめますので、ぜひ注目を。

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