日本を代表するフュージョンバンド、カシオペアは、今年でデビュー40周年。ギタリストの野呂一生さんは、バンドのリーダーとして、また500曲以上を作曲してきたメインコンポーザーとして、第一線を走り続けてきた。7月に最新アルバムをリリース、夏の全国ツアーも控えるなど、今も多忙な日々だ。
「ライブは体力を使うので、暇を見つけてはよく歩くようにしています。多い時は3kmくらい。歩くリズムにのってメロディが浮かんでくることもあるし、黄昏時の景色を見ながら散歩していると、曲のイメージが浮かびやすいんです」
40年を振り返ると「あっという間だった」と語る野呂さん。これまでにライブツアーで世界各地を訪れてきた。
「ブラジルを2週間ほどかけて縦断した時は、同じ国なのに土地によって民族が全然違うのに驚きました。味の思い出で言えば、スイスの山のレストランで食べた“ラクレット”。熱々のポテトに、溶かしたチーズをかけて食べるのが、白ワインとよく合って。忘れられない味ですね」
お酒の中でもワインが一番好きで、10年以上前からもっぱら白ワイン党だ。チリのワイナリー、ロス ヴァスコスのソーヴィニヨン・ブランは、数年前に知り合いのワインバーで出合った。
「飲み口がさっぱりしていておいしかったんです。値段がお手頃なところもいい。お酒好きなミュージシャンの楽屋見舞いにしたりしています」
野呂さん自身、このワインを自宅で楽しむことも多い。
「僕は宵っ張りで、翌朝に仕事がない時は深夜まで起きています。作曲は皆が寝静まってからのほうがはかどるんですよ。曲作りの合間に少しずつ飲んだり、作曲をしない日でも、これをお供にYouTubeで昔の演奏家のプレイを見たり。とてもリラックスできる時間ですね」