どうやって、新しくお高いハイヒールをゲットできたのかは、実際に読んで確認いただくとして。この、したたかな、もといしなやかな強さを持った三琴はじめ、署内外、辛夷ヶ丘の町内の人々はみな筋金入りのクセ者揃いだ。登場人物たちは物語の彩り、読みどころとなり、毒をはきまくる。それを、「やなやろうどもなんで。みんな勝手で残酷、自分のことしか考えてない。『半径5mくらいの中がハッピーならそれでいいや』みたいな感じなんですけど、それが書いてる間はすごい楽しいですよね」
と、若竹七海さんは笑う。
実際ここで起こる事件はほとんど、人間関係の距離が近く、家族や親戚といった家をめぐる事柄が発端や経緯に絡んでいる。だからこそ、事件そのものは残虐であったとしても、切なさや共感といった感情がふと呼び覚まされたり。