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女性たちを、レッテルをはった箱の中に閉じ込めたいとは思いません――クロード・セルヴァン=シュベール(Fマガジン編集長)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、1970年代のフェミニズム界で最先端にいた人物の言葉を振り返ります。

文・澁川祐子

1978年7月25日号「女だけのF編集部を訪ねて」より
1978年7月25日号「女だけのF編集部を訪ねて」より

女性たちを、レッテルをはった箱の中に閉じ込めたいとは思いません――クロード・セルヴァン=シュベール(Fマガジン編集長)

Fマガジンは、フランスで1978年から1982年まで刊行された、編集からデザイン、営業まで全スタッフが女性という異例の月刊誌。ファッションや美容、料理などのページはなく、ルポやニュース、インタビューなどで構成され、女性の生き方を問うフェミニズム雑誌として注目を集めました。

クロワッサンは、その編集部をいち早く訪れ、編集長インタビューを敢行。創刊の経緯やコンセプト、反響などを訊いています。

名言が発せられたのは、バイセクシュアルについてどう思うかと尋ねたときのこと。きっかけは、Fマガジンに掲載された、アメリカのフェミニスト作家ケイト・ミレット(1934-2017)のインタビュー記事でした。ケイト・ミレットは、『性の政治学』という著作で知られ、かねてよりバイセクシュアルを公言していた人物です。

編集長は、Fマガジンは女性に関する雑誌であり、<実際にバイセクシュアルの女性が存在しており、レズビアンの女性の女性が存在しているのであれば、それを扱わない理由はない>ときっぱり。<この女性は母親、この女性は異性向きの女性、この女性はバイセクシュアルという具合に>レッテルを貼らず、あらゆる女性の生き方に興味をもって紹介していくつもりだと語っています。

いま、世界中で「#Me Too」運動が起きていますが、決してその声や反応は同じではありません。先進的な雑誌を率いた人物の言葉は、多様な声に耳を傾けるという基本姿勢をあらためて思い起こさせてくれます。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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