どう摂るとより効果的?「海藻」の栄養学。
撮影・黒川ひろみ 文・井上健二
おいしくても、 摂りすぎはNG。 過剰摂取で健康 を害する恐れも。
昆布、ヒジキ、ワカメ、もずくに多いミネラルにヨウ素がある。
「ヨウ素は甲状腺に取り込まれて甲状腺ホルモンの原料となり、身体全体の新陳代謝の促進に関わっています。けれども、ヨウ素を摂りすぎると、逆に甲状腺からのホルモンの分泌が悪くなることも」
ただし、健康な人が日常食べるくらいの量やたまに多く食べる分には、ほぼ心配はいらないという。
「ヨウ素の過剰摂取が気になるなら、乾物を戻す際にたっぷりの水に20分くらい漬け、よく洗ってヨウ素を落とすようにするといいでしょう。水に20分間漬けると、ヨウ素は昆布で90%以上、ワカメとヒジキでは約30%溶出することが報告されています」
育つ海の深さで3つのタイプに大別できる。
海藻は色の違いにより、緑藻(りょうくそう)類、褐藻(かっそう)類、紅藻(こうそう)類の3つに分けられる。緑藻類は青海苔やあおさ、褐藻類は昆布、ワカメ、ヒジキ、もずく、紅藻類は寒天の原料となる天草やフノリなど。色の違いは、育つ海の深さを反映している。
「陸上の植物と同じように、海藻も太陽光を利用して光合成をしています。それぞれの海藻の色の違いは、海の中に届く光を最も多く吸収できるように進化した結果なのです。浅瀬で育つ緑藻類は葉緑素を使って光合成をするので緑色、やや深い所で育つ褐藻類は橙色色素を使うので褐色に、さらに深い所で育つ紅藻類は紅色色素を使うので赤色に見えます」
ちなみに、アサクサノリは紅藻類の一種だが、海の浅い所で育つので黒っぽいのだという。
佐藤秀美(さとう・ひでみ)●学術博士(食物学)。栄養士、日本獣医生命科学大学客員教授。電機メーカーで調理機器の研究開発に従事した後、独立。美味しさと栄養の両立を追求。
『クロワッサン』997号より
広告