日本でも人気の高い、画家グスタフ・クリムトやエゴン・シーレ。
彼らが登場したのは19世紀末から20世紀初頭のオーストリア・ウィーン。この頃、ウィーンでは新しい芸術を求める革新運動が起きている。のちにこの新しい芸術は「世紀末芸術」と呼ばれ、絵画や建築、工芸、デザイン、ファッションなどの分野で、ウィーン独自の装飾的で、煌びやかな文化が生まれた。
この時代に、クリムトやシーレのほか、建築家オットー・ヴァーグナー、アドルフ・ロースなど各界を代表する芸術家たちが登場し、ウィーンの文化は黄金時代を迎えることとなる。
今回の展覧会は新しい試みとして、ウィーンの世紀末文化を「近代化(モダニズム)への過程」という視点から紐解く。18世紀の女帝マリア・テレジアの時代の啓蒙思想がビーダーマイアー時代※に発展。ウィーンのモダニズム文化の芽生えとなり、19世紀末の豪華絢爛な芸術運動へとつながっていった背景をたどっている。
※19世紀前半、ドイツやオーストリアを中心に、身近でささやかなものに関心を向けた市民文化のこと。