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松尾たいこさんの東京の味。五感を満足させてくれる、季節を感じる野菜料理。

ありとあらゆるおいしいものと洗練されたものがひしめき合い、ただ歩くだけでも刺激的な街、それが東京。恩恵を受けられるのはなにも住人だけに限りません。仕事や観光で訪れたつかの間にも街の力がフルチャージされるはず。食通が考える、今の東京を体現するお店を知り、店選びの基準を学んでみましょう。

撮影・青木和義、黒川ひろみ

松尾たいこさん アーティスト、 イラストレーター
松尾たいこさん アーティスト、 イラストレーター

「旅するように暮らしたい」といつも思っていて、今は月の半分を東京、残りを福井と軽井沢で過ごしています。福井には2014年から通い出し、’17年に築100年の古民家をリノベーションした物件に引っ越しました。福井はお米もお酒も、もちろん魚もおいしく、すっかり魅了されてしまいました。そんな福井の味覚を、目に楽しく、美しく仕立ててくれる店を、東京の自宅近くで見つけたのでうれしくて。『四季ごはん 晴れ間。』の店主、福井出身の中原知美さんが作る料理はどれも四季が感じられ、特に夜のコースは少しずついろいろなものを食べたい私にぴったり。小食なので、ドーンとこられるとそれだけでぐったりしちゃうんですよね。また、たとえば魚メインの郷土料理店だと野菜の印象が薄かったり、その逆だったりすることがよくありますが、郷土を大切にしながらも、要望の多い人が好みそうなものを提供してくれる、そんなところに東京らしさを感じます。

五感が喜ぶということでは『kaiki』もやはり、色合いの美しさなど見た目で四季が感じられ、そして食べておいしいイタリアンの注目店。初めは夫が知人から評判を聞いてきて、まずはランチで行ったらとても私好みだったので、次は夜に行って……。これからもっと通いたい店です。こちらも北陸・富山出身のシェフですが、魚介はもちろん野菜の味がしっかりしていて〝ちゃんとおいしい〟のがいいですね。コースのパスタをグラム単位でオーダーできるのも素晴らしい。お腹いっぱい、だけどちょっとは食べたいなという時に、「10本だけください」なんて言うこともあります。私は東京では一人で食事することも多いのですが、どんな客層にも対応してくれる懐の深さも、東京の店の良さだと思います。

この年になると、食べられれば何でもいいというわけにはいかない。適正ないいものにしかお金を使いたくないし、満足いくおいしいもので太りたいんですよ(笑)。自分でしっかり探して選べばそれがかなう、東京はそんな街だと思います。

【代々木八幡】四季ごはん 晴れ間。

『四季ごはん 晴れ間。』の〈おまかせコース「晴れ間。本日のゆうげ」〉4,300円から、旬のおつまみ盛り合わせ5品。左上から時計回りに、黒豆とひじきのマリネ 自家製ドライトマトのせ、わらびとホタルイカの白和え、クラッカーに福井県鯖江市の日本酒〈梵〉の酒粕を使った、しば漬けクリームチーズカナッペ、季節野菜の炊き合わせ、中央は、新じゃが酒盗バターのせ。炊き合わせには、福井の名物油揚げ「竹田のあげ」も。
『四季ごはん 晴れ間。』の〈おまかせコース「晴れ間。本日のゆうげ」〉4,300円から、旬のおつまみ盛り合わせ5品。左上から時計回りに、黒豆とひじきのマリネ 自家製ドライトマトのせ、わらびとホタルイカの白和え、クラッカーに福井県鯖江市の日本酒〈梵〉の酒粕を使った、しば漬けクリームチーズカナッペ、季節野菜の炊き合わせ、中央は、新じゃが酒盗バターのせ。炊き合わせには、福井の名物油揚げ「竹田のあげ」も。
ソムリエと唎酒師の資格を持つ店主・中原さん(左)と松尾さん。「福井というと越前ガニ、というイメージが強いと思いますが、それ以外にもおいしいものがたくさんあるんですよ」と口を揃える二人。中原さんが主催者となって、福井・美浜町の熟成魚のイベントなども行ってきた。
ソムリエと唎酒師の資格を持つ店主・中原さん(左)と松尾さん。「福井というと越前ガニ、というイメージが強いと思いますが、それ以外にもおいしいものがたくさんあるんですよ」と口を揃える二人。中原さんが主催者となって、福井・美浜町の熟成魚のイベントなども行ってきた。
松尾さんも「おいしいから食べてみて!」とお薦めの〈福井のソースカツ丼〉900円。薄い衣の薄いカツに、ウスターソースがよく合う。
松尾さんも「おいしいから食べてみて!」とお薦めの〈福井のソースカツ丼〉900円。薄い衣の薄いカツに、ウスターソースがよく合う。
松尾たいこさんの東京の味。五感を満足させてくれる、季節を感じる野菜料理。
『四季ごはん 晴れ間。』の〈おまかせコース「晴れ間。本日のゆうげ」〉4,300円から、旬のおつまみ盛り合わせ5品。左上から時計回りに、黒豆とひじきのマリネ 自家製ドライトマトのせ、わらびとホタルイカの白和え、クラッカーに福井県鯖江市の日本酒〈梵〉の酒粕を使った、しば漬けクリームチーズカナッペ、季節野菜の炊き合わせ、中央は、新じゃが酒盗バターのせ。炊き合わせには、福井の名物油揚げ「竹田のあげ」も。
ソムリエと唎酒師の資格を持つ店主・中原さん(左)と松尾さん。「福井というと越前ガニ、というイメージが強いと思いますが、それ以外にもおいしいものがたくさんあるんですよ」と口を揃える二人。中原さんが主催者となって、福井・美浜町の熟成魚のイベントなども行ってきた。
松尾さんも「おいしいから食べてみて!」とお薦めの〈福井のソースカツ丼〉900円。薄い衣の薄いカツに、ウスターソースがよく合う。
松尾たいこさんの東京の味。五感を満足させてくれる、季節を感じる野菜料理。

福井の食材を用いた創作料理を、寛ぐ空間で。

元大手広告代理店勤務という経歴の中原知美さんが、福井の食材を東京の人が楽しめる店をと、6年前にオープン。和食ベースの創作料理は、可愛らしい店構えと相まって、老若男女が訪れやすい雰囲気に。また〈梵〉や〈早瀬浦〉といった福井の純米酒は「お酒はかなり飲みますが、1合ずついろいろ飲みたい」という松尾さんも満足のラインナップ。

松尾たいこさんの東京の味。五感を満足させてくれる、季節を感じる野菜料理。

しきごはん はれま。●東京都渋谷区上原1-1-20 TEL:03-6804-9980 営業時間:18時〜23時(食事22時、ドリンク22時30分LO)、日曜17時〜22時(食事21時、ドリンク21時30分LO) 月曜休(祝日の場合、翌火曜休)

【代々木上原】kaiki

〈春野菜のバーニャカウダ〉。野菜は季節によって異なり、写真はプンタレッラ、ロマネスコ、黒大根、高糖度ゆり根、菊芋、ハニーキャベツ、うす紫大根、ちぢみほうれん草、香りごぼう、ローズベローナ、ハニーセロリなど。17〜20種ものフレッシュな野菜を中心に取り合わせ、ランチコースにもディナーコースにも組み込まれている、店の看板メニュー。夜のアラカルトなら1,200円。
〈春野菜のバーニャカウダ〉。野菜は季節によって異なり、写真はプンタレッラ、ロマネスコ、黒大根、高糖度ゆり根、菊芋、ハニーキャベツ、うす紫大根、ちぢみほうれん草、香りごぼう、ローズベローナ、ハニーセロリなど。17〜20種ものフレッシュな野菜を中心に取り合わせ、ランチコースにもディナーコースにも組み込まれている、店の看板メニュー。夜のアラカルトなら1,200円。
コースより、〈ホタルイカのオレキエッテ〉。菜の花、ブロッコリー、そら豆、グリーンピースといった春野菜の緑と、カラスミの黄色が美しい。パスタの量は応相談。ランチコースは2,800円、ディナーコースは5,300円。夜はコース以外にアラカルトメニューもある。
コースより、〈ホタルイカのオレキエッテ〉。菜の花、ブロッコリー、そら豆、グリーンピースといった春野菜の緑と、カラスミの黄色が美しい。パスタの量は応相談。ランチコースは2,800円、ディナーコースは5,300円。夜はコース以外にアラカルトメニューもある。
オーナーシェフの清水さんは、37歳と若いが経歴も実力も折り紙付き。
オーナーシェフの清水さんは、37歳と若いが経歴も実力も折り紙付き。
〈春野菜のバーニャカウダ〉。野菜は季節によって異なり、写真はプンタレッラ、ロマネスコ、黒大根、高糖度ゆり根、菊芋、ハニーキャベツ、うす紫大根、ちぢみほうれん草、香りごぼう、ローズベローナ、ハニーセロリなど。17〜20種ものフレッシュな野菜を中心に取り合わせ、ランチコースにもディナーコースにも組み込まれている、店の看板メニュー。夜のアラカルトなら1,200円。
コースより、〈ホタルイカのオレキエッテ〉。菜の花、ブロッコリー、そら豆、グリーンピースといった春野菜の緑と、カラスミの黄色が美しい。パスタの量は応相談。ランチコースは2,800円、ディナーコースは5,300円。夜はコース以外にアラカルトメニューもある。
オーナーシェフの清水さんは、37歳と若いが経歴も実力も折り紙付き。

イタリアンの名シェフが作る、ブーケのようなバーニャカウダ。

代官山『カノビアーノ』、銀座『アロマフレスカ』を経て、西麻布『オッジ・ダルマット』で料理長を務めた清水雄太郎シェフ。いわば東京イタリアンを知り尽くした彼が昨年オープンした、野菜に特化したイタリアン。「都会過ぎず、こなれた人が集うバランス良い街」(清水さん)と代々木上原を選んだだけあって、瞬く間に地元民から支持される人気店に。

松尾たいこさんの東京の味。五感を満足させてくれる、季節を感じる野菜料理。

カイキ●東京都渋谷区西原3-17-11 IR Bld.B1F TEL:03-6407-1605 営業時間:11時30分〜15時(13時LO)、18時〜23時(21時30分LO)、火曜は夜のみ 月曜休、月1回不定休

松尾たいこ(まつお・たいこ)●アーティスト、イラストレーター。広島県出身。書籍の表紙や広告などのイラストを多く手掛ける。現在、東京・福井・軽井沢の3拠点生活中。福井では陶芸制作も行う。

『クロワッサン』995号より

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