くらし

鎌倉の美味しいもの好きが太鼓判!昼も夜も大満足の、訪ねるべき9店。

在住20年以上のローカル4人がおすすめする昼と夜の鎌倉。
地のものを活かした味わい深い料理、お酒、甘いものも網羅。
秋の鎌倉散策はこれで決まり。
  • 撮影・大河内 禎 文・赤澤かおり

教えてくれた人

●赤澤(あかざわ)かおりさん
フリー編集者、ライター
鎌倉を拠点に料理と旅、人や暮らしについて執筆、編集をする。近著に自身の料理本歴と料理本の読み方、愉しみを綴った『人生にはいつも料理本があった』(筑摩書房)がある。

●堀内千佳(ほりうちちか)さん
「café vivement dimanche」マダム
鎌倉の人気老舗カフェ。マスターを陰で支えるマダムの堀内さんは、毎日行列が絶えない大人気パフェの生みの親であり、キッチン部のリーダーでもある。

●馬詰佳香(うまづめかこ)さん
「DAILY by LONG TRACK FOODS」主宰
鎌倉市農協連即売所内のデリとスイーツのお店。スコーンやレモンケーキ、ピクルスなどは、ローカルたちの手みやげや日常使いの定番。全国各地から人が訪れる人気店。

●小山千夏(こやまちなつ)さん
「fabric camp」オーナー
鎌倉・雪ノ下で生地店を営む。インドからの肌触りのいい手紬の生地やブロックプリントのチャーミングな生地を扱うほか、それを使って仕立てるオリジナルの洋服も人気。

23(ニジュウサン)

とびきりおいしいタコスは必ずオーダーするメニューです。(馬詰さん)

鎌倉駅西口、通称裏駅にほど近い場所にオープンして1年半。瞬く間においしい噂が広まったここは、季節のものをメインに毎日変わる無国籍の料理が味わえるビストロ。
人気のタコスは皮から、パスタはオーダーが入ってから手打ちするなど手間暇を惜しまない。
「どの料理にもシェフの工夫が凝らされていて、食べる前からワクワクします。注文が入ってから焼かれる皮と盛りだくさんな具のタコスは、必ずオーダーするものです」(馬詰佳香さん)

カウンターとテーブル席が1つのミニマムな店内でパフォーマンスを繰り広げるシェフ、フミさん。お酒の種類も無国籍にいろいろ。

●神奈川県鎌倉市御成町14・6 ウランブル鎌倉 I 
TEL.0467・38・7078 
営業時間:12時〜14時30分L.O.、17時〜21時L.O. 
休日:月曜

exotica(エキゾチカ)

トマトベースにワンタンと香菜入りのスパイシーなスープに、自家製鶏ハムと鎌倉と三浦の野菜を使ったサラダ、肉まんのランチセット。さらにパテドカンパーニュかサルシッチャがついて1,980円。

近所なのに旅先みたいな気分になれるお店です。(堀内千佳さん)

季節とともに変わるエキゾチックでバラエティ豊かなスープと自家製パン、肉まん、キッシュから好きなものが選べるランチのセットから火がつき、今や地元マダムたちの定番ランチ&憩いの場に。

定番スープのほか、広島県産の牡蠣を使ったオイスターチャウダー、ガスパチョ、季節野菜のポタージュなど旬のものも。

「朝9時からお昼は14時半まで、夜は18時から23時まで営業しているのもありがたい。休みの日はランチ前の朝シャン(シャンパンと牡蠣)からの、スープとサラダと決めています」(赤澤かおりさん)。
秋のスープは濃厚な、焼きなすのポタージュが登場。

キッシュ、パン、肉まんもすべて自家製。肉まんは隣の店舗でお土産としても購入可能。全面ガラス張りの広々とした2階席で、ゆったりと鎌倉のおいしいものが満喫できる。

●神奈川県鎌倉市御成町14・6 ウランブル鎌倉A 
TEL.070・2363・1192 
営業時間:9時〜11時(モーニング)、11時〜14時30分(ランチ)、18時〜23時(ディナー&バー) 
休日:月曜、日曜ディナー

café vivement dimanche(カフェ ヴィヴモン ディモンシュ)

小山さんのおすすめ、ブラジルのシーフードシチュー。サフランの香りと贅沢に使われたシーフードがクセになるおいしさ。

言わずもがなの大人気店。鎌倉に来たらぜひ行きたいところ。(小山千夏さん)

「最近はミニオムライスにしてパフェまで制覇するのがお気に入り」と赤澤さん。ふわふわ卵とデミグラスがたまらない。

鎌倉に店を構えて今年で29年。ローカルにも、観光客にも長年変わることなく愛され続けている唯一無二のカフェ。
自家焙煎によるこだわりの名水で淹れるコーヒーや、定番のコーヒーパフェ、プリンのパフェに加え、季節ごとに登場するパフェなど話題に事欠かないのも人気の理由。
「まったく飽きない永遠のアイドルみたいなオムライスがとにかく好き。長蛇の列もなんのその、ぜひオムライスもパフェも、フルコースで制覇してほしい」(赤澤さん)

食後は定番のコーヒーパフェにマスター入魂の名水コーヒーを。なめらかな口当たりに驚くこと間違いなし。カウンター越しに真剣にコーヒーを淹れるマスターの姿が見られる。

●神奈川県鎌倉市小町2・1・5
TEL.0467・23・9952 
営業時間:11時〜18時 
休日:水・木曜

piu forte(ピュ フォルテ)

じゃがいもとなすで山羊のチーズをサンドして素揚げし、 トマトと煮込んだ南イタリア地方チレントの野菜の煮込み。

毎度、シェフのセンスに圧倒されます。(小山さん)

「食べたことのないイタリアの地方料理やそれに合わせたワインを飲ませてくれるのが楽しいところ。料理やお酒にまつわる話もおもしろく、料理に対する情熱を感じます」(堀内さん)。
「おまかせの前菜がずっと食べ続けられるくらい、本当においしい。シェフのセンスに圧倒されます」(小山さん)。
「イタリアを旅して研究するご夫妻が生み出す料理が毎回楽しみ」(赤澤さん)。
3人揃って太鼓判を押すイタリアン。イタリアと中欧諸国のワインの充実ぶりも圧巻。

独り占めしたい、おかわりしたいなどの声多数の人気定番メニュー、魚醤とレモンチェターラ風。一度食べたらやみつき! カウンター席があるので、一人でも入りやすく、気軽な雰囲気もうれしい。

●神奈川県鎌倉市雪ノ下3・3・26 
TEL.0467・67・1735 
営業時間:12時〜13時L.O.、18時〜20時30分L.O.
休日:月曜、火曜不定休(要確認)

Pho RASCAL(フォー ラスカル)

鎌倉市農協連即売所の葉野菜とトマトがモリッとのったベジタブルフォーとしっとりとした鶏肉入りのチキンフォー各1,000円。最後まで飲み干せるスープは癒やしの味わい。

やさしい味わいのスープに季節の野菜がたっぷり。(馬詰さん)

東京・吉祥寺の伝説の食堂『クゥクゥ』を経て、神奈川・大磯で食堂をオープン後、鎌倉に移転して丸6年。
鶏もも肉と鶏むね肉からとったやさしい味わいのスープがハワイのフォーに似ているとの声もある店。
「やさしい味わいのさっぱりしたスープに季節の野菜がたっぷりのベジタブルフォーがお気に入りです」(馬詰さん)。
「とにかく何を食べてもおいしいので、すでに全メニュー制覇済み! 通しで営業しているのもありがたい」(堀内さん)

フォーのお供にオーダーしたいカリッとした皮とジューシーなエビ、豚にコリアンダーの風味がきいた春巻550円。
鎌倉駅から徒歩約5分。光がふり注ぐ明るく気持ちのいい店内。

●神奈川県鎌倉市小町1・15・5 
TEL.0467・25・1238 
営業時間:11時〜16時30分L.O.
休日:日・月曜

TRES(トレス)

豚肉とれんこん、しょうがの定番水餃子650円。秋には鶏肉と冬瓜とザーサイの水餃子が登場予定。野菜や果物を使ったものが多いのも女性に人気の理由。

一番通っているお店。誰かを連れて行くとみんな大好きになります。(堀内さん)

鎌倉の夜を支えて9年目。季節の素材を使って作る、お酒に合うのはもちろん、お腹もしっかり満たすつまみの数々に魅了され、一度行ったらすぐまた行きたくなる人続出のワインバー。
ワインはフランス、イタリア、日本を中心とした自然派が揃う。
「季節に寄り添った魅惑的なメニューが次々出てくるのがいい! ワイン好きなのでいろいろ教えてもらえるのも楽しみ。とはいえ、いつもおまかせしっぱなしなんですが(笑)」(小山さん)

ワインが詰まったセラー。好みを言うと、オーナー夫妻が好みにも料理にもぴったりのものをセレクトしてくれる。
堀内さんが必ずオーダーする鶏レバーのしょうゆ煮 八角風味560円(上)は、常連客間の人気メニュー。

●神奈川県鎌倉市扇ガ谷1・8・9 鎌工業会館ビル102 
TEL.0467・66・1324 
営業時間:16時〜23時L.O. 
休日:水曜、月2回不定休

時間

グラスワインは約10種520円〜。ビールもあり。カリッとした焼き目とガルビュールのスープが染み込んだ鴨のコンフィスープガルビュール仕立て1,090円。

いい音楽と、料理とお酒、すべて揃っています。(赤澤さん)

かつてレコード店の店員として働いていた店主が30代で一念発起!飲食の道へ。鎌倉の名店で修業後、2023年春、自身の店をオープン。
ここには人生の中でいい時間を過ごすためにオーナー自身に欠かすことのできない3つの要素、音楽とワインと料理が詰め込まれている。
ほぼ一人で切り盛りしながら、料理をし、ワインの説明をして、レコードもかける、いい時間を作るために日々奮闘する寡黙なオーナーの作る料理と空間を味わいにぜひ。

ワインにもよく合うゴルゴンゾーラのチーズケーキ、パイナップルソース添え540円。
カウンターのほとんどを占めるレコードプレーヤーを前に楽しげなオーナーの梶丸さん(上)。

●神奈川県鎌倉市御成町9・34 Confortタカサキビル1F左 
TEL.0467・40・4901
営業時間:17時〜24時 
休日:日曜、第1・3月曜

酒肴 こころや

味が濃いと評判の鎌倉野菜は、無農薬の「HALSA渡辺農園」のものを中心に。

緑に囲まれた空間で昼飲み。大人でよかった〜。(赤澤さん)

北鎌倉の東慶寺の緑あふれる庭の一部を眺めながら、料理人である主人が自ら足を運んで選んできた数々の日本酒に舌鼓。
合わせる料理は、無化学肥料無農薬の季節野菜や三崎、天草、舞鶴などから仕入れる極上の魚の味わいを生かしたもの。
1年ほど前に昼からしっかり飲めて食べられる店へと営業スタイルをチェンジし、昼からこの景色を眺めながら大人の昼飲みが楽しめるところとしてさらに人気が高まっている。12月初旬には紅葉も!

〆には一本ずつなって作られた秋田・稲庭町の350年の歴史が刻まれた貴重な稲庭うどんを。国産蒸し鶏と徳島のすだち1,500円。

●神奈川県鎌倉市山ノ内1386
TEL.0467・40・6507 
営業時間:11時〜15時(土・日曜、祝日〜17時) 
休日:火・水曜

十二所 膳所(ぜぜ)

お弁当はだし巻き卵、うなぎの八幡巻き、かしわのうま煮、たこのやわらか煮など手間暇かけた季節の料理とかやくご飯、汁物など10品ほどと甘味がついて5,500円。要予約。

目にも舌にも美しい料理は、自分へのご褒美。(赤澤さん)

京都の名店『たん熊』で修業後、地元鎌倉に和食『一平』をオープンして11年。鎌倉・由比ガ浜で特別な時間を過ごすため、おいしい和のものをいただく場として地元の人を中心に定着してきた名店がこの秋、昼のお弁当の店をオープン。

お弁当の最後のお楽しみは、自家製のとろける味わいのわらび餅。やさしい甘味が最高。

場所は鎌倉・十二所、明王院の境内の奥の一軒家。緑生い茂る山を背にした風情あるこちらでいただけるのは、季節のものを盛り込んだお弁当。その間、由比ガ浜の一平は少々お休み。2024年秋には新店舗にて再開予定。

骨董好きな主人が集めた器もさりげなく使われているので、それを楽しみに来るお客さんも多い。由比ガ浜の一平はコース1万5000円前後。

●神奈川県鎌倉市十二所33・2 
TEL.0467・25・2314 
営業時間:11時〜14時*要予約(限定15食) 不定休
*鎌倉駅から京急バス(23、24、36系統)に乗り、「泉水橋」下車、徒歩3分。

『クロワッサン』1101号より ※メニューや価格は取材時のものです。

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