紀行作家・光瀬憲子さんの台湾ならではのB級グルメ。地元の味を、食べ歩きで満喫する。
撮影・黒川ひろみ 文・光瀬憲子
小籠包、麺、湯……台湾名物をお手軽価格で存分に味わう。
【東門駅】盛園絲瓜小籠湯包(シェンユェンスーグァシャオロンタンバオ)
甘みのあるヘチマをふわふわの肉とともに。
地元の人たちで賑わう肉汁たっぷりの小籠包専門店。中正紀念堂の真横なので観光の前後に立ち寄れる。看板メニューはヘチマ入り(絲瓜)小籠包だが、定番の上海小籠包やカニ味噌(蟹黃)小籠包も絶品。小籠包以外のメニューも充実しておりビールも飲める。
中国東北部の大餅捲牛肉(ダービンジュエンニョウロウ)はこんがり焼いた焼餅(シャオビン)で牛肉とキュウリを巻いた、言わば北京ダックの牛肉版。ほかにも蒸し餃子(ジェンジャオ)(蒸餃)や牛肉餡餅(ニュウロウシェンビン・牛肉のお焼き)などが人気。週末の昼時や夕方は長蛇の列で混み合うので、狙い目は平日や週末の14時から17時。
【大橋頭駅】金泉小吃店 (ジンチュェンシャオツーデェン)
素朴な味わいのシンプルな麺を焼豚とセットで。
先々代の名前「炎仔(イェンズ)」を愛称に掲げる麺自慢の店には昼前から常に地元客の行列ができる。麺店が多い台湾でも金泉ほどそのコシやダシの風味にこだわる店は少ない。シンプルな旨さと20元の変わらない価格がリピーターを呼ぶ。焼肉は早めになくなるので要注意。
【龍山寺駅】環南市場米苔目(ホァンナンスーチャンミータイムー)
早朝から賑わう地元密着店で、自家製米粉麺を堪能。
環南卸市場で働く人々の朝食店として始まった、3兄弟が営む人気店。米苔目(ミータイムー)は原材料の米粉ペーストをトコロテンのような押し出し式容器に入れて製麺するのでふわふわな食感になる。米の香りが漂う麺とあっさりした豚骨スープの組み合わせは定番の朝食。調理場前に並ぶ黒白切(ヘイバイチエ)と呼ばれる小皿は台湾独特の豚モツのスライス。臭みがなく食べやすい。メニューはないので食べたい部位を指差しで注文する。
【北門駅】妙口四神湯、肉包專賣店(ミャオコウスーセンタン、ロウバオズァンマイデェン)
知る人ぞ知る包子(パオズ)の名店は行列必至!
肉まんとスープという2つだけのメニューで連日行列を作る超人気屋台。濃厚で甘みも肉汁もたっぷりの肉まんは一度食べたらやめられない。弾力のある皮はほんのり甘く、女子好み。四神湯(スーセンタン)は山芋、茯苓(ぶくりょう)、蓮の実、芡実(けんじつ)という漢方素材と豚の小腸を煮込んだスープ。ややクセのある味だが案外さっぱりしていて夢中になる人も多い。食べ過ぎ、飲み過ぎのあとの整腸作用があり、美肌効果も。モチモチの小腸とプチプチした漢方具材の食感が楽しい。
【龍山寺駅】原汁排骨湯 (ユエンジューパイグータン)
屋台の看板を目印に、骨付き豚肉の旨味が凝縮したスープを味わって。
迫力の骨付き豚肉と大きなホクホクの大根がゴロンと器に盛られたスープ。台湾では定番の味だがこれほど具材が大きいのは珍しい。肉の旨味たっぷりのスープを一口すすると思わずため息が漏れる。豚肉を箸で取り分け、醤油ダレにつけて、炒飯に乗せていただこう。