【劔樹人さん】日々の家事を一手に担う、主夫たちの言い分とは。
撮影・岩本慶三 文・嶌 陽子
妻に説得されて機械や人の手を借りたら、だいぶ楽になりました。
それぞれの役割を自信満々にこなしたい。
2014年に結婚した犬山紙子さんと劔樹人さん。当初から、家事は劔さんが担当してきた。2年前には娘も誕生。劔さんの家事の進歩ぶりを、犬山さんはどう見ているのだろうか。
「最高です! 子どもが生まれてからさらに忙しくなったのに、うまく時間をやりくりして、洗濯や掃除をしてくれています。私が好きな料理のレパートリーをこの5年間の積み重ねで着実に増やしていってくれたし、娘の食事も、毎回栄養バランスを考えて作ってくれるんです。娘がもりもり食べているのを見ると、私も安心して仕事に出かけられます」
そのかたわらで、「僕は5年たって進歩したという実感は全然ないけど……」と、つぶやく劔さん。
「つるちゃんは、自己評価が低いんですよ。私からすると、彼がいないと仕事もできないし、いつも『ものすごく助かってるよ!』って伝えているんですけど、なかなか届かない。仕事は報酬などの目に見える形で評価を得られますけど、家事はそこが難しいですよね。だからこそ、周囲がしつこいくらい感謝を伝えないとだめだと思います」
劔さんのことを「夫として1億点」と評する犬山さん。強いて要求があるとすれば、
「モノをためずに捨ててほしい」、そして何より「もっと自信を持ってほしい」ということ。
「彼が自信を持ってくれないと、私も『家事を押しつけている』と、自分を責めてしまう。お互い、それぞれの役割である仕事や家事を、自信満々にやっていけたらいいなと思うんです」
結婚するまで、家事とはほぼ無縁の生活を送ってきた劔さん。この5年間は試行錯誤の連続だった。
「洗濯にしても、赤い服をほかのものと一緒に洗ったら、タオルがピンク色に染まってしまったり、小物が隙間に入り込んで洗濯機が詰まってしまったり。最近は、大体なんでも洗濯ネットに入れてます。家事は人に聞いたり、自分で調べたりして覚えていった感じですね」
料理も、犬山さんのリクエストに応じて作り方を調べつつ、自分流にアレンジしていった。取材当日に作ってくれた明太子パスタと和風のカルパッチョも、犬山さんの好物だ。
「明太子パスタは、ボウルにバターと明太子、めんつゆ、牛乳を入れておいて、ゆでたパスタを加えてよく混ぜるだけ。妻が好きな大葉と海苔は必ず添えるようにします。僕は献立を考えるのが苦手。具体的にリクエストされるほうがありがたいんです」
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