くらし

時空を超えて集結した やきものたちの晴れ舞台。愛知県陶磁美術館『共演!世界のやきもの』│金井真紀「きょろきょろMUSEUM」

わたしは「世界の」に弱い。世界のビール、なんて看板を見るとついビアバーにふらふらと入ってしまう。古本屋さんで、世界の市場とか世界の民族衣装など「世界の」系写真集と目があうともう辛抱たまらず、あぁ財布は軽くなり、荷物は重くなるのであった。「地域によってぜんぜん違う!」驚きと「それでも世界は繋がっている……」しみじみの、ふたつの感動が交互にくる。それが「世界の」系のニクいところだ。

そんなわけで「世界のやきもの」と聞いて胸がざわざわし、愛知まで足を運んでしまった。これがまさに驚きとしみじみの宝庫だった! アジア、中東、ヨーロッパ、中南米……と展示品の出身地は多岐にわたる。だけでなく、旧石器時代の土偶からエミール・ガレの花瓶まで、時代も形状もじつに多様で、目がくらむ。

そう、やきものと言ったって天目茶碗もあれば煉瓦も笛もある。この果てしない宇宙をどう並べるか、きっと学芸員さんは悩んだに違いない。まぁ、時代順とか地域別とかに展示するのが無難であろう。だが、今回の担当・田畑さんは無難な道を選ばなかった。時代も地域もバラバラだけど「龍」の絵が共通するやきものを集めたり、各地の「黒い壺」をひたすら並べたり、展示に工夫が凝らされていて楽しさ倍増。田畑さんが骨董品のセレクトショップを開いたらセンスのいいお店ができそうだなぁ、でもそんな店があったらお金を使っちゃうから困るなぁ、なんて妄想しながら「世界の」を抱きしめて帰途についたのでした。

『共演!世界のやきもの』 
愛知県陶磁美術館(愛知県瀬戸市南山口町234番地)にて3月24日まで開催。中国陶磁を中心にアジア各地やヨーロッパ、中南米の原始古代から近代までの多様な作品を約120点展示する。電話番号0561-84-7474 9時30分~16時30分 月曜休館 一般・600円

金井真紀(かない・まき)●作家、イラストレーター。最新刊『サッカーことばランド』(ころから)が発売中。

『クロワッサン』992号より

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