くらし

先のこと…ではありません! どうする?どうなる?「親のお金」。

  • イラストレーション・山下カヨコ 文・板倉ミキコ

トラブルを未然に防ぐため、 プラスとマイナスの財産を把握。

今すぐに着手できる具体的な相続対策は、ざっくりでもいいので、不動産や親の預貯金、有価証券などの金融資産といった“プラスの財産”はどのくらいあるのかを把握しておくこと。

「一番に価値を把握しておくべき、かつ相続で問題になるのが土地・家屋、いわゆる不動産です。特に都心部の場合は土地代が高く、財産の半分程度を占めるパターンも多い。30坪もある戸建てであれば相続税も無視できません」

また不動産なら、親に相談せずとも取り急ぎ自分で価値の計算ができる。

「住所がわかれば路線価がわかりますし、自宅近隣の不動産屋に行けば、売買の取引情報を見て、大体の相場が把握できます。かなり大雑把な計算ですが、充分目安にはなります」

親の協力が得られるなら、納税通知書を見せてもらい、そこに明記してある自宅の固定資産税評価額で計算ができる。左の表は、中島さんが作成した、相続の相談に来た人に渡す財産の管理シートだ。現金や預貯金、有価証券や生命保険など、わかる範囲で記載していく。ここで忘れてはならないのが、マイナスの財産。銀行ローンや車のローンなどの債務も確認しておこう。

「ローンには銀行のほかに、クレジットカードなど様々な形態が含まれます。特に、事業をしている人や、不動産をたくさん所有している人のローンは見逃せません。財産はけっこうあったのにローン総額のほうが多い、なんてパターンもよくあります」

また親が事業主の場合は、保証人や連帯保証人になっている可能性も高いので、一度現状を確認しておきたい。

「親が亡くなった場合、その地位も相続しなければならないので要注意。直接聞くのが難しいなら、自分で登記簿(登記事項証明書)を取り寄せてみる。借り入れの際、不動産に抵当権、根抵当権をつけることが多いので、その辺がきれいかどうかで確認できます。法務局で調べられますし、ネット(※1)でも取れます」

とはいえ、そもそも財産や相続の問題は、親と話しづらい側面がある。

「いきなり財産の話を切り出すと、訝しがられる可能性もあります。早めに財産把握をしておくべきですが、一度にやろうとせず、まずは親やきょうだいとコミュニケーションをしっかり取っていくことが大事。先のことをどう考えているか、家はどうしたいのか、そんな話から始めてみては。しっかり話ができる関係を作っておけば、必要以上の相続トラブルは避けられます」

※1 登記情報提供サービス https://www1.touki.or.jp

財産管理シート

※2 団体信用生命保険付きの住宅ローンは、 万一の際、ローン残債が弁済される。(C)2018 広尾麻布相続センター

上記の表を一気に作成しようとせず、親との信頼関係を保ちながら対話を進めて。老後や介護についての親の思いを聞くことも大事。

中島典子(なかじま・のりこ)●税理士、社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー。広尾麻布相続センター代表。相続前後の幅広いアドバイスが好評。http://tax-money.jp

『クロワッサン』990号より

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