【節約習慣】貯蓄法や保険なども古い常識を捨て、お金の新習慣を身につけて。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・イオクサツキ 文・寺田和代
(!)自分の稼いだお金を 夫名義で貯金している。
妻の稼ぎは妻名義の口座にすれば節税に有効。
昨年から配偶者特別控除の年収の上限が150万円に拡充されたことで、働く主婦はさらに増えそう。
「でも主婦の場合、稼いだお金は生活費に充てて右から左へと消えてしまいがち。できれば家計は夫の収入でやりくりして、妻が稼いだお金は手をつけずに妻名義の口座に貯蓄しておきましょう」
主な理由は贈与税対策。定収入が記された本人名義の通帳は、本人の稼ぎである証明になり、贈与とみなされないためだ。
「平均寿命は女性が男性より約6歳長く、妻は夫より年下のことが多い。将来おひとりさまになった時の相続税対策にも有効です。へそくりも夫に言って、年110万円までの贈与税非課税枠の範囲で自分名義の口座に振り込めば安心」
(!)学資保険に入っている。
金利下降で、入ったら損になることが多い。
子どもの誕生はうれしいけれど先々の教育費が気になることも。
「子どもが生まれたら学資保険に入ることが常識のように考えられていた時代もありました。実際、今から30年前、郵便局の学資保険は満期の受取総額が掛け金の2倍近くになった人もいたほど利回りが高かったものです。でも今、保険商品の予定利率は軒並み下降。学資という名称がつこうと、保険商品は1万円の保険料を支払うとそこから手数料や保障代金が引かれるため、保障はあっても受取額が総支払額を下回ることも」
満期になる18年後にインフレになっていたら、貨幣価値が目減りしてさらに損をする可能性もある。
「子に学資保険は古い常識。今は『入ったら損』の可能性が大です」
(!)口座を複数持っている。
口座の数を絞って手数料を節約。
銀行の倒産リスクに備え、貯蓄は複数口座に分散、は今は昔の常識。
「銀行口座を複数持っていると、その分手数料を払わなければならない可能性もあります。なぜなら日本はデフレ状態が続くなかで、預金の金利をマイナス0・1%にするマイナス金利政策が取られたから。銀行が生き残り策として実施したのが手数料をさまざまな場面で稼ぐことです」
たとえばATMの引き出し手数料の徴収強化から、うっかり時間外に引き出すと利息分以上のお金が目減りすることもしばしば。
「大手銀行ではこれまで無料だった口座の維持管理手数料の徴収を検討しています。知らない間に預金を減らさないためには、口座の数を必要最低限にすることです」
(!)生命保険に 多額のお金を掛けている。
子どもの大学卒業まで必要最低限の金額で。
子育てにお金がかかる時代に主たる稼ぎ手に何かあったら、と考えて加入することの多い生命保険。
「会社員の夫に万が一のことがあると、幼い子を抱えた妻は途端に路頭に迷うと想像して多額の保険金を掛けがちですが、実際は夫の厚生年金から月15万円ほどの遺族年金が出ます。住宅ローンの支払いも免除されます。ただし、問題は子ども1人につき大学まで平均1000万円と予測される教育費。これを確保するために生命保険に入るなら必要最低限の金額で充分。そして、子どもが卒業したら即、見直しましょう」
この先、加入を考えるなら経費が安いネット保険に。
「その場合も、月々の保険料が無理のないもので充分でしょう」