くらし

子供にとっての関心とは?│束芋「絵に描いた牡丹餅に触りたい」

現在進行中のプロジェクトの関係で、フランスの小学校でやるワークショップに参加した。

私は子供を産んでないし、子供との遊び方を知らない。さらにフランスでは子供が話す言葉も当然フランス語なので、簡単な会話さえ理解できない。

私は母親参観のように、教室の後ろの方で、その日どんなことが行われるか見学するつもりでいた。

ワークショップではさまざまなゲームをし、それに抵抗したり、反抗したりすると体にどんな変化が起こるのかを体験するもの。最初にみんなで手を繋いでサークルを作るときに「束芋も入って」と誘われ、2人の子供がすぐに私の両手を掴んで、いつのまにかゲームに参加するハメに。「反抗する体」の面白さの体験も興味深かったが、最も驚いたのは、子供たちの態度だ。

8歳、9歳程度の子供たちは、喋れず、面白いことも一切しない私に一生懸命喋りかけ、2人組になる時などは、私を取り合ったりするのだ。男女問わず、私の隣に来たがり、手を繋ぎたがる。隣から離れない子もいた。

新しい転校生への興味のようなものなのか、はたまた日本人らしい日本人に対する珍しさがそうさせるのか。最後には、結局何も子供を楽しませることのできなかった私に、1人の女の子が抱きつき、その後ろから、男の子も女の子も何重にも抱きついてくるという状態。この不思議体験は、私が大人しい女の子だった幼少期、幼稚園で何故か私を取り合って両手を逆方向に必死に引っ張っている2人の女の子の記憶とつながる。何か秀でたことなど何もなく面白いことなども言えない寡黙な子供だったけれど、2人の女の子は自分が私と遊ぶのだと、私を取り合う。

その時も、モテる嬉しさより不思議さが強く印象に残った。

子供にとっての関心は何か、未だ理解できないけれど、技能や容姿、ましてや肩書きなど全く関係ないところで、そこにいる「人間」に興味を示す子供たちに、技能や容姿、肩書きに左右されてしまう大人になってしまった私は、大きな尊敬の念を抱かずにはいられない。

束芋(たばいも)●現代美術家。近況等は https://www.facebook.com/imostudio.imo/

『クロワッサン』987号より

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