くらし

【家電・光熱費編】家計のためのその節約、むしろ損している?

買い物や家電の使い方を工夫しているつもりが、実は節約にならないことを、節約アドバイザーの丸山晴美さんが指摘します。
  • 撮影・青木和義 文・小沢緑子
節約アドバイザー 丸山晴美さん

《NG》省エネと環境のために、照明はLED電球に全て替えました。

「LED電球は手頃になったとはいえ、まだまだ導入コストが高いですし、約10年もつと言われていますが、我が家では2年で切れたことが。全てを取り換えるのではなく、電球型蛍光ランプと使い分けるのが賢いやり方では」
と、節約アドバイザーの丸山晴美さん。60Wの電球で価格を比較すると、LED電球は1000〜3000円、電球型蛍光ランプは700〜1200円、白熱電球は100円ほど。
「消費電力は白熱電球だと約54Wかかりますが、LED電球は約8W、電球型蛍光ランプは約12Wと低め。リビングなど長時間使う場所はLEDを、廊下など短時間しか使わない場所は電球型蛍光ランプでも充分」

《NG》節電タップでこまめにスイッチを入れたり切ったり。

「節電タップでこまめにスイッチを切るのはいいこと。ただ、中にはスイッチを入れると目印として点灯するタイプがあり、ランプ1つ当たり0.1Wほどとわずかですが電力を消費しています。接続する家電によっては、節約どころかマイナスに転じる可能性も」
なぜなら最近は待機電力がほぼゼロの、エコ仕様の家電が増えているから。
「節電タップは、スマホやゲーム機など、充電式のものや待機電力が大きなものに使うのがおすすめです」

《NG》冷気を逃がさないために、冷蔵庫にはビニールカーテンを。

「冷蔵庫内に節電用のビニールカーテンをかけると、見渡しが利かず扉を開ける時間が長くなり、電気がムダになっている可能性が。ドアポケットがうまく冷えないという弊害もあります」
まずは食材を詰め込みすぎず整理整頓し、扉を開ける時間を短くすること。
「冷蔵庫は壁にぴったりくっつけると放熱が妨げられ、余計な電力がかかります。適切な隙間を空けると、年間約1220円の節約になるとの試算が。壁から両側は2cm、背面は10cm以上空け、上部には物を載せないことです」

《NG》蒸し暑い日はエアコン除湿運転で消費電力を抑えます。

夏の日中、家庭の消費電力の58%を占めるのがエアコン。冷房代を節約しようと除湿運転にすると、実は余計に電気代がかかっている場合もある。
「エアコンの除湿機能は、弱冷房状態で除湿する『弱冷房除湿』と、室内の気温を下げずに湿度だけ下げる『再熱除湿』の2種類があります。この再熱除湿の場合、室内を冷やしすぎないように、一度冷やして除湿した空気を
“もう一度温め直す”機能が加わるため、その分、電気代がかかります」
消費電力は、再熱除湿、冷房、弱冷房除湿の順に大きく、一般的に再熱除湿の場合、冷房と比べると約1.2倍の電気代がかかる。
「どちらのタイプかは取扱説明書で確認できます。再熱除湿だった場合、冷房にして、設定温度を29℃や30℃に上げたほうが電気代はかかりません」

《NG》光熱費を節約するなら、追い焚きよりも、給湯器で一からお湯を沸かすべき。

入浴時に湯船に張ったお湯を毎回入れ替えるのはもったいないと、翌日も残り湯を追い焚きするという節約法。
「ガス代だけで考えると、浴槽いっぱい200Lの水を40℃の湯に沸かす場合、給湯は約68.1円、追い炊きは約79円かかる計算に。温め直す追い焚きより、一から給湯したほうがお得です」
ただし、水道代込みで考えると、残り湯を追い焚きしたほうが節約になる。
「浴槽に200L分の水をためると水道代は約46円かかります。最もムダなく使う一番の節約法は、まず最低限の湯量を湯船に張り、浸かった後はその湯を使って体や頭を洗い、最後に残ったお湯は、洗濯に使うこと。もうひとつ、50%節水できる節水シャワーヘッドを取り付けるのも有効。家族が多いほどお得となり、水道代もガス代も両方節約できます」

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