いまや不可能であろう羽田空港での屋上ロケ、今年閉業してしまった箱根の小涌園(当時は外国人専用だった)の植物園でのダンスシーン、さらには400人のサラリーマンが深夜の丸の内で群舞する圧巻のミュージカルシーンなど、まさに全編が見所。“無責任男”植木等もゲスト出演して場をかっさらいます。
各キャラクターが自分の持ち歌を熱唱するのですが、なんと言っても輝いているのが、テーマソング『アメリカでは』を歌う雪村いづみ。のちに、ピチカート・ファイヴのアルバム『さ・え・ら ジャポン』でカバーされたことでも知られる洒脱な名曲を、メガネ姿でとびきりキュートに歌い踊ります。
日本人離れした超スレンダーなモデル体型の雪村いづみがスクリーンに映るだけで、映画に新しい風が吹き込むよう。そして、「アメリカでは仕事は仕事遊びは遊び/日本では日曜日でも休まない」など、日本人の過剰な働き方を皮肉った絶妙な歌詞が、半世紀以上経ったいまも通用することには思わず苦笑……。働き過ぎに自覚はあるけれど、いまと違って給料も着々と上がるし、出世もできるし、みんな本当に幸せそうです!