くらし

【春名風花さん】誰が書いたかすぐわかる。そんな個性的な文章って素敵だと思います。

フォロワーが多い人の文章の秘密とは。約18万人ものフォロワーがそのつぶやきに注目する「はるかぜちゃん」こと春名風花さんに話を聞きました。
  • 撮影・青木和義 ヘア&メイク・得字マキ 文・一澤ひらり

口に出したとき気持ちよく言える文章、文字で会話してる感があっていいな!

春名風花さん

春名風花さん 17歳  @harukazechan (フォロワー約18万人)

0歳で芸能界デビュー。17歳の今、高校に通いながら声優、女優として活躍する春名風花さんは、9歳の時に「はるかぜちゃん」のハンドルネームでツイッターを開始。今や約18万人ものフォロワーがそのつぶやきに注目する。しっかりした意見を持ち、まっすぐで個性的なツイートが人気の理由だ。
「ツイッターを始めた時から自分の呼び方は『ぼく』って書いてます。小学生のころ、しょこたん(中川翔子さん)のブログが好きで、あんなふうに読んだだけで誰が書いたかわかる文章って素敵だなって思って。ツイッターはブログほど長くないし、LINEほど短くなくて、自分の思いを伝えるのにちょうどいい文字数なんですよね」

春名さんが一躍その名を知られるようになったツイートが「都条例ぷんすか(ω)」(下参照)。2010年、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」で、「不健全図書」を規制する改正案が可決・成立したことに対する抗議のツイートだった。9歳にして理知的で的確、客観的で公正な意見に世の大人たちは驚嘆した。

「実はこれが最初の炎上なんです(笑)。自分の大好きな漫画が規制対象になったらどうしようと思ってツイートしたら、びっくりするくらいの反響で……。『子どものくせに』と書き込まれた時は、そこは関係なくない?って思ったりしたけど、いろんな意見があると知ることができたし、わかり合えない人の存在を認めるということも覚えるきっかけになりました」

ツイッターはすべてスマホから発信している。

ツイッターで発する真摯な思いは、高校3年生の今も不変。そもそも、どんな考え方で書いているのだろう?
「イメージは上質な絵本ですね。小学生ぐらいの子が読んでいて知らない単語が出てきても、文脈から意味がわかるような言葉を選ぶようにしています。難しくなりがちな言葉を、どうやわらかく言い換えるかって考えるのが楽しいんですよね」

語彙を広げ、自分が言いたいことを表すのにふさわしい言葉を見つけたい。そんな思いから、言葉に関するいろいろなサイトをスマホで参考にする。
「よく見るのは類語辞典です。『作る』を引くと意味だけでも20以上あって、それぞれに対して類語があります。形作る、仕立てる、生み出すとかって意味によって表現が変わってくるので、勉強になるんですよね」

日経新聞 記事審査部(校閲担当)のツイートでは、「ことばリサーチ」などで言葉の使い方や蘊蓄を知ることができ、より深く探索できるそう。
「同じ言葉でもひらがなと漢字ではニュアンスが違ってきますよね。『ひとり』という言葉も、寂しい独り暮らし、気ままな一人暮らしなど、漢字によって印象が変わります。醤油も正油だとレトロかわいい感じがするし、そういう文字の味わいも大切にしたいんです」

しかし、美しく端正な文章を書いて、年齢より大人だと思われるのはうれしくない。等身大の17歳の姿が伝わるように若者言葉を混ぜてみたり、文章が醸し出す年齢感を意識する。
「『マジか』ってけっこう書くし、了解の略語の『り』も使うし、そうすると同じ年代に届きやすくなるんですよね。それにツイッターは“会話してる感”が魅力なので、口に出したときに気持ちよく言えるリズム感のある文章がいいなって思います」

言葉づかいの配慮にはとても細やか。だが、常に真正面から率直な発言をするだけに、何度か大きな炎上を経験。殺害予告や嫌がらせも受けてきた。

 

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