【お断り編】シーン別で考える、失敗が許されない大切な手紙の書き方〈文例集〉。
文・石飛カノ
【お断り・昔の恩師に】大仰な表現をせず率直に。断っても次に繋がる言葉を添える。
頼まれたものごとや、かねてよりの約束を断るのは、誰しも心苦しく感じるもの。
「とはいえ、いつまでも返事を先送りにしていると、相手をやきもきさせてしまいます。引き受けられないときは気持ちを込めてはっきりと。断ってもいい関係が続くよう、次に繋がるひと言を添えましょう」
この場合でいうと、祝賀パーティに出席できなくても盛会を祈る言葉を最後につけ加える。
「また、ネガティブなイメージの言葉はどんな手紙でも使わないこと。手紙は言葉の力が強まります。“疲れる”“忙しい”“緊張”などはNG。“生憎”も字の印象が強すぎます。ポジティブな言葉に変換するか、どうしても書かなければ伝わらないというときは平仮名で」
《いつもの手紙》
1. 少し表現が大仰で硬すぎる。
2.「生憎」は文字にすると強い印象。使うときは「あいにく」と平仮名にしたほうが柔らかく感じられる。
3. 理由を書かずにただ「伺えそうにありません」では、読み手は「なぜ?」と思ってしまう。
4. 本当に別の機会を設ける気持ちがあるとき以外は、書かなくてもいいフレーズ。相手を期待させてしまうことに。
《できる大人の手紙》
1. 喜びやお祝いを増幅させるようなフレーズをプラスする。
2.「馳せ参じる」という男性的な表現より、「謹んで出席させていただく」のほうがエレガント。
3. 断る理由はできるだけぼかしたほうが無難。先約があるなど具体的すぎると失礼に当たるし、理由を何も書かないとそっけない。「家の都合」か「仕事の都合」くらいがおすすめ。
4. 自分が出席できなくても、会が盛り上がることを祈るひと言をつけ加えると感じがよい。
むらかみ かずこ●手紙文化振興協会代表理事。企業・自治体向けの研修や一般向け講座で手紙の書き方を幅広く指導。『できる大人の“一筆添える”技術』(中経の文庫)など著書多数。
『クロワッサン』975号より