【基本編】そうか、こう書けばいいのか! 大人の教養、手紙の書き方。
撮影・青木和義 文・石飛カノ
まずは基本を知り、相手との関係性を考えて書き分ける。
「今、手書きの手紙の価値が見直されているのは、SNSの反動ではないでしょうか」
と、手紙文化振興協会代表理事のむらかみかずこさん。
「ネットやスマホは便利な反面、人肌が感じられません。一方、手書きの手紙には独特の温かみがあり、その人の感情がそこに見えたりします。今の時代、人と心地よく繋がりたいというすごく大きなテーマが私たちの心の中に生まれているような気がします。その手段のひとつが手書きの手紙だと思うのです」
そんなコミュニケーションツールとして手紙を活用するためには、封筒の書き方、はがきの書き方、失礼のない文章の書き方などなど、必要最低限の書き方の基本を習得しておきたい。
字の上手下手は二の次。最も重要なことは相手のことを想像しながら、丁寧な楷書で書くこと。また、バランスを考えて書くことも忘れずに。封筒書きの場合は郵便番号の枠をガイドラインにしたり、便せんの場合は「罫線下敷き」がついているものもあるので、それを利用して書くとおさまりがよい。
「また、頭語(とうご)や結語(けつご)、敬称なども教養として知っておくのは大事なこと。とくに、目上の方や年配の方、格式を大事にされている方に手紙を書くときは、それらが基本となります。ただ、手紙をもらい慣れていない人に対しては、必ずしもお作法にとらわれる必要はありません。あまりかしこまった表現をすると、かえって“どうしよう、こんな立派な手紙をもらっちゃった”と相手にプレッシャーをかけてしまうことも。お互い気心が知れている友人や家族であれば、頭語と結語を省略して普段の言葉で書くほうがふさわしいと言えます。いずれにしろ、相手との関係性によって書き分けることをおすすめします」
手紙は相手と自分との関係がよくなることを願って書くもの。その目的が叶うよう、基本を踏まえつつ臨機応変に書き分けたい。