「今考えると私にとって充実した時間だったけれど、女性に背負わせる時代に逆戻りするのは反対です。そもそも介護は、する側もされる側も、もっとオプションがあったほうがいい。どれがベストかなんて一概に言えない。どんな形だとしても介護が終わった後は悔いが残るものなんです。本来はその悔いを少しでも軽くするのが政治だけれど、今はかえって重くしている。なんなのだという怒りは、私にも冬子にもありますね」
こうした死に向かう現実を軸にしながら、落合さんが伝えたかったのは「生きること」だ。介護の後も続くストーリーの中でも、さまざまな自立した女性の選択、最期に臨む姿が展開され、どの人生も尊重したい気持ちでいっぱいになる。