ベランダガーデニングは、プランターごとにコンセプトを決める。
撮影・青木和義 文・大澤千穂
C 間近で見る鉢には、四季と個性を感じる草花を。
リビングの前のプランターには部屋からも日々季節を感じられる趣向を。
「モミジは、季節により葉の色を変える『出猩々(でしょうじょう)』という品種。ベランダの植栽は常緑樹が多いですが、あえて落葉樹を入れることで、季節の移ろいをよりはっきりと感じられます」
座って眺めること、室内側であることを踏まえて、地面に近い部分にもこだわりを。下草は山アジサイなど目にも美しく、日陰に強い品種を。表面にはBの鉢と同じく苔を貼った。
モミジをメインに
赤色で芽吹き、夏に向け緑になり秋に再び紅葉する種。その変化が楽しい。
西洋オダマキ
多様な品種のあるオダマキだがどれも丈夫。これは洋種で白い花が可憐。
ヤグルマソウ
日本の山林に生息。綿毛のように小さな白い花と大きな葉が観賞ポイント。
山アジサイ
一般より小型な藍姫という種。日陰でもしっかり藍色のかわいい花が咲く。
ポップブッシュ
豪州原産の常緑低木。細い緑の葉は寒い季節は紫に。その変化も楽しめる。
ジューンベリー
今回は大きくならない品種を選択。6月頃につく赤い実は甘く美味。
アマドコロ
日陰に強い多年性の山野草。こちらは葉に白斑入り。春に花が咲く。
西洋イワナンテン
ツツジ科の低木。カーブのある濃い緑の葉が特徴。病害虫に強く丈夫。
ギボウシ
存在感のある葉が特徴。冬には枯れるが、春にまた芽を出す宿根草。
D 収穫する楽しみも詰まった、香り豊かな鉢。
ベランダの外からもよく見える、手すり側のプランター。
「でもベランダガーデニングは家から楽しむことが基本なので、立ち木は室内の方向から見て美しいように、内向きに配置しています」
下草にはシルバータイムを中心に、フェンネル、ワイルドストロベリーといった、ハーブや食べられる実がなるものなど収穫できる植物が並ぶ。
「葉と葉がこすれて、ふとハーブが香る。その匂いも楽しめますよ」
シルバータイムをメインに
乾燥に強く風通しのよい場所を好む。白い縁が美しい葉は観賞するだけでなく、煮込み料理などにも使える。
フェンネル
繊細な葉がたっぷり茂るハーブ。すっきりとした香りで魚料理に合う。
ワイルドストロベリー
生命力が強く、真夏と真冬以外は花や小さな実がつく。実は食べられる。
アベリア
四季咲きといえるほど開花期が長く、半常緑でありながら寒さにも強い。
ミモザ
ふわふわの黄色い花はこの時が花の見頃。Aの鉢のミモザとは別種。
ツリバナ
日本各地で自生する落葉低木。秋には真っ赤な実がつく。多湿を好む。
西洋オダマキ
花は薄紫とピンク。宿根草なので上が枯れても根は生きて、翌年また育つ。
アスチルベ
穂先に、濃い赤の粒状の花をつけている。寒さに強い多年草。
砂森 聡(すなもり・さとし)●庭師、草盆栽家。自然を感じる庭を数多く手がける。西荻窪『草と花 一草(isso)』に続き、吉祥寺に『ひとくさ』を開店。
『クロワッサン』974号より
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