79歳の自立生活を支える、北村光世さんのオリーブオイルのある食卓。
ハリのある声、ツヤ肌、すっと伸びた背中。若々しい北村光世さんの元気の秘訣は、毎日のオリーブオイルにあります。
撮影・小林キユウ 文・雪嶋恭子
ほかほかの炊きたてご飯にオリーブオイルをかけ、好みで醤油を数滴。
「イタリアの友人は、お腹の調子が悪いとき、米を炊いてオリーブオイルをかけて食べるそうです。それで思いついて、ご飯にオリーブオイルをかけたら、まるで卵かけごはんのようにおいしかったんです。すっかり気に入って、“エッグフリーごはん”と命名しました」
北村光世さんは、ハーブ研究の第一人者として知られ、現在は鎌倉とイタリア・パルマを行き来しながら、世界の食文化を研究している。
「最初はみなさん、“ご飯にオリーブオイル?”って不審そうな顔をされるんです。でも、食べるとみんな納得するの。冷めてもご飯粒がオイルコーティングされているので硬くならないんです。残ったらおにぎりにしてフライパンで焼いて焼きおにぎりに。スナックみたいにパクパク食べちゃう」
もはやキッチンにあるオイルはオリーブオイルだけ。
「私は“エクストラヴァージン”しか使いません。どんな料理にも合う辛みと苦みのバランスがとれたミディアムタイプがオススメですね。毎日使いますから、250mlで1,500円前後、500mlなら2,500円前後のもので充分」
北村さんは、海外旅行がまだ珍しかった1950年代にアメリカに留学。スペイン語を学ぶと同時に、世界各国の料理と出合い、まだ日本では知られていない食文化に魅せられた。
帰国後も世界各地を旅行し、その土地のおいしい料理を学んでは、雑誌やテレビで紹介し、何冊もの料理本にまとめてきた。