名所図会からペナント、ガルパンまで。お土産の歴史をひもとく『ニッポンおみやげ博物誌』展が開催中。 | アートとカルチャー | クロワッサン オンライン
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名所図会からペナント、ガルパンまで。お土産の歴史をひもとく『ニッポンおみやげ博物誌』展が開催中。

あなたが何気なく買っているあのグッズも、立派な研究対象かも? 誰もが語ることのできる身近なトピックス「おみやげ」を徹底的に考える展覧会が開催中です。
  • 撮影・文:クロワッサンオンライン
佐倉城址の一角にある広々したミュージアム

近世から現代までのお土産を網羅した、どの世代も楽しめる企画展示『ニッポンおみやげ博物誌』が千葉県佐倉市の国立歴史民俗博物館で開催中。
あまりにも身近すぎて、アカデミックな視点で語られることの少ない「おみやげ」を、日本唯一の国立の歴史博物館ならではの学術的なアプローチで秩序だてて紹介している、面白くてためになる展覧会です。

約1300点もの資料を、江戸時代の出版物を中心にした「アーリーモダンのおみやげ」、近代以降の国立公園や世界遺産に代表される格付けに注目した「観光地のブランド化とおみやげへの波及」、キャラクターグッズなどお土産のモチーフを紹介する「現代におけるおみやげの諸相」、旅の目的の変遷がわかる「旅の文化の多様化とおみやげの展開」、おみやげの意味やありかたを見つめなおす「おみやげからコレクションへ」の5つの章で展示。

個人的に最も興味深かったのが、第一章の「アーリーモダンのおみやげ」。参勤交代や訴訟のために長期滞在する人が増えたことから花開いたお江戸のお土産文化がわかる展示で、印刷技術の向上を背景に急増した旅のガイドブックも種類いろいろ。

旅行用心集 1810年(国立歴史民俗博物館蔵)

こちらの『旅行用心集』は、江戸時代の有名な旅マニュアルのひとつ。今でもガイドブックの定番コーナーである「持ち物リスト」や、お風呂に入るときの注意、相部屋の人への気遣いなどまで網羅されている実用書です。江戸時代ならではのユニークなアドバイスとしては「日記を持っていく」ことを推していること。この時代の旅は、おみやげよりもおみやげ話のほうがずっと価値があったからだそう。何を見て、何を食べ、何を買ったか、いくらだったか、誰に贈ったのかなど、貴重なデータが記録された日記も多数展示。

今はブログやインスタに取って代わられたとはいえ、旅の記憶を残したい、伝えたいという願いは不変なのですね。

写真上:江戸買物独案内 1824年(国立歴史民俗博物館蔵) 写真下:進物便覧 1811年(お茶の水女子大学生活文化学講座蔵)

もうひとつ有名なマニュアルといえば、お土産さがしの必需品『江戸買物独案内』。ミシュランガイドのようなもので、京都、大阪版もあったとか。今ではちょっとイメージできませんが、お江戸最大のショッピングタウンといえば、当時は日本橋や銀座ではなく港区の芝大神宮界隈で、「あそこには子どもを連れていけない、動かなくなっちゃうから」などと言われた一大歓楽街だったそう。

ちなみに、近世エリアの目玉展示は、お土産指南書『進物便覧』。旅のおみやげだけでなく、贈り物のマナーから、新築祝いや出産祝など用途別おすすめギフトまで、進物全般を扱うおみやげガイドの決定版。江戸土産のラインナップには、塩瀬まんぢうや深大寺そばなど、今も変わらぬ名物も掲載されています。

作者不明のため長らく研究対象としては見落とされて資料でしたが、さすがは歴史の殿堂と呼ばれる博物館、今回の展示に合わせ調べたところ作者が判明したのだとか。歴史的なガイドを執筆したのは京都の裕福な呉服屋のボンで、家業を継がず、大阪で洒落本作家として活動した田宮仲宣(1753?-1815)。主に上方で人気を博したよう。

赤べこやこけしなどの郷土玩具、昭和の定番土産ペナント、70年代のアンノン族から『ガールズ&パンツァー』などの聖地巡礼ブームまで。全世代が一つは「自分ごと」として語ることのできる名物が見つかる展覧会。あなたの家に飾ってあるあのお土産の歴史的背景やストーリーに出会うチャンスですよ(クロワッサンオンライン のぐぽん)。

【企画展示 ニッポンおみやげ博物誌 開催概要 】
期間: 2018年7月10日(火)~9月17日(月祝)
休館日:月曜日(休日の場合は翌日が休館日となります)
※ただし、8月13日は開館
会場: 国立歴史民俗博物館 企画展示室A・B
料金: 一般:830(560)円 / 高校生・大学生:450(250)円 /小・中学生:無料 /( )内は20名以上の団体
※毎週土曜日は高校生は入館無料。※障がい者手帳等保持者は手帳提示により、介護者と共に入館が無料。
開館時間:9時30分~17時00分(入館は16時30分まで)
※開館日・開館時間を変更する場合があります。

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