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マリー・アントワネットの ヒラヒラがすごい!『ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展』│金井真紀「きょろきょろMUSEUM」

『ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展』 渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)にて7月29日まで開催。ダイアン氏の膨大な収集品から全盛期の作品を中心に175点を展示。電話番号03-3465-9421 営業時間10時~18時(金曜は20時まで) 休日:月曜(ただし7月16日は開館) 料金:一般500円
『ダイアン・クライスコレクション アンティーク・レース展』 渋谷区立松濤美術館(東京都渋谷区松濤2-14-14)にて7月29日まで開催。ダイアン氏の膨大な収集品から全盛期の作品を中心に175点を展示。電話番号03-3465-9421 営業時間10時~18時(金曜は20時まで) 休日:月曜(ただし7月16日は開館) 料金:一般500円

美容院に行った帰り道は、街ゆく人の髪型が気になる。靴を買ったあと電車に乗ると、みんなはどんな靴を履いているのかチェックしてしまう。そしてレース展を見たあと、わたしは世の中のレースが突如として気になり出した。マダムの日傘、赤ちゃんのよだれかけ、厚手のカーテンのうしろにチラリ。おぉ、自分のパンツのふちにもささやかなレースがついておる。

世界にはこんなにレースが溢れているのに、これまでわたしはレースの歴史と価値を知らなすぎた。かつてあれは、王侯貴族が借金をしてまで買い求める貴重品だったという。なかにはレースを手に入れるためにお城を売った人までいたらしい! レース、侮りがたし!

高額の理由は、気が遠くなるような制作時間だ。熟達したレース職人の手仕事で、1カ月で作れるのがたったの3センチ四方なんて世界らしい。展示品の中には、ルイ14世やナポレオンといった歴史上の人物に由来するレースもあった。

マリー・アントワネットのロイヤルウェディングのために制作されたレースは、幅75センチ、長さ8メートルだと! ひゃー、どんだけ時間とお金がかかったんだろう。庶民のパン何個分に相当するのか……。

これまでマリー・アントワネットの肖像画を見ても、盛り髪とアクセサリーばかり見て、レースは完全にノーマークだった。だが今後はついついレースに目がいってしまいそう。西洋絵画の見方まで変える衝撃のレース展でした。

金井真紀(かない・まき)●作家、イラストレーター。最新刊『パリのすてきなおじさん』(柏書房)が発売中。

『クロワッサン』977号より

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