くらし

離婚せず、お互いひとりの時間を楽しみたい。【専門家がアドバイスする夫婦の悩み相談】

「離婚したい」「自立して卒婚」「夫のこんなところが嫌」……。読者の悩みに医師の石蔵文信さんと臨床心理士の信田さよ子さんが答えます。
  • 撮影・森山祐子(信田さん) 文・後藤真子

離婚せず、お互いひとりの時間を楽しみたい。(58歳)

ともに50代後半、共働きの夫婦です。お互いにひとりでいたいと思っているせいなのか、自然と家で一緒にいなくてすむような生活になっています。私は早起きして早く出勤し、早く帰宅。夫はその真逆で遅く出勤し、夜遅く帰宅。平日は完璧なまでに家で顔を合わすことがありません。しかし週末はそうもいかないこともあり、一緒にいるとなにかしらの原因でイラッとすることが生じます。
離婚や別居をする気はないので、退職後にむけてゆるやかな住み分けのしかたを模索中です。大学生の子どもが独立したら、その部屋を別の目的に使おうか、などと将来の生活に思いを巡らせています。互いの生活を尊重する夫婦の住み分けを成功させる秘訣を知りたいです。

石蔵さんのアドバイス

住み分けは熟年期の夫婦のあるべき姿なので、すれ違い、おおいにけっこうです。どちらかが倒れていたらわかる程度の生活が理想です。そのためにはルールを作ることが必要。なかでも台所、洗面所など共有部分の使用方法は重要なのできちんと決めましょう。難しい場合は、台所や風呂場は別にするなど、建築家やリフォーム業者に相談してみては?

信田さんのアドバイス

よくある問題ですね。まず、夫と妻でありながら「親しい他人」であると意識を切り替えること。そしてルールを作ることが大切です。例えば呼び方を決める、週に一度は一緒に食事をするけれどそれ以外は別とか、お互いの親族の慶弔には夫婦として出る、子どもに関することは夫婦として協力する、など。もちろんお金に関することも決めましょう。大事なのは例外を作ってはいけないということ。ひとつを破ると、もともとが夫婦だったわけですからあっという間に元に戻ってしまいます。子どもが自立して家を出て行くことが難しい時代です。それが実現できるのは素晴らしいことだと思ってください。

石蔵文信(いしくら・ふみのぶ)● 大阪大学人間科学研究科 未来共創センター 招へい教授。循環器専門医。心療内科医。定年後男性の生活自立を目的とした料理教室を開催。著書に『なぜ妻は、夫のやることなすこと気に食わないのか』(幻冬舎新書)ほか。
信田さよ子(のぶた・さよこ)● 臨床心理士。’95年、原宿カウンセリングセンターを設立。依存症、DV、アダルトチルドレンなどの問題に取り組んでいる。著書に『家族収容所―愛がなくても妻を続けるために』(河出書房新社)ほか。

『クロワッサン』964号より

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