「日本は、魚の種類がきわめて多い。その地方に行かないと食べられない魚もある。たとえば、丹後の『ドキ』。見た目はゼリー状で、ぶるぶると透き通って、どう見ても魚に見えない。骨も軟骨状でただただゼリーのようなそれをぶった切って、汁に入れて食べる。そういうのも必ず食べてみるんです」
けれど、もちろん、珍しい食材ばかりに挑戦し続けているわけではない。ときに、大好きな蕎麦を信州や東京近郊で食べ歩きしたり、身近な食材を使って「発明料理」を自ら生み出したり。ともあれ、なによりいけないのは、“食べず嫌い”だという。
「見た目がまずまずしくてもおいしいものっていっぱいあるじゃない。もんじゃ焼きなんて、初めて学生に連れられて月島で口にしたとき、見た目はいかがなものかと思ったけれど、おいしい。食べ物って、グルメ本に載っている料理だけがいいというものではない。やっぱり大事なのは自己開拓」
このもんじゃ焼きのエピソードには「なんぞ焼き」という発明料理がおまけにつく。ほかにも表題の大根にまつわる料理など、数々のレシピが披露されているので、それは読んでのお楽しみ。