くらし

Q.斜め前の家の犬の鳴き声に困っています。【ご近所トラブル解決方法】

騒音や悪臭はよく思い浮かぶ近隣トラブルだ。相手が事業主であれば、規制基準に則り、基準を超えた騒音やニオイで生活に被害が生じているとして、発生源の管理責任者・団体を訴えることができる。ただし、一個人の生活騒音には、規定がない。解決できず、受忍限度を超えている場合には、法的な手段をとることに。
  • 撮影・西邑泰和、松本幸子 イラストレーション・内田尚子 執筆 回遊舎・(酒井富士子・番場由紀江・尾崎寿子)、 鈴木弥生

基本的に罰則はないが、場合により慰謝料を請求できる可能性も。

飼い主はペットが他人の生活環境を乱したりしないように努めなければならない。ペットの鳴き声に関しても飼い主がしつけや飼育環境の整備をする必要があるが、基本的に罰則はない。しかし、ブリーダーやペット業者などのように多くの動物を飼っており、長期間にわたって騒音や異臭が続いている場合には慰謝料を請求できるかもしれない。何度もクレームを入れたにもかかわらず改善の措置がとられない場合は、受忍限度を超えたと判断され、精神的な苦痛に対して慰謝料などを請求が認められる場合がある。

動物愛護管理法での飼い主の責任事項

1.動物の習性などを正しく理解して、 最後まで責任をもって飼うこと
飼いはじめる前から正しい飼い方などの知識をもち、飼い始めたら動物の種類に応じた適切な飼い方をして、健康・安全に気を配り、最後まで責任をもつこと。

2.人に危害を加えたり、 近隣に迷惑をかけないこと
糞尿や毛、羽毛などで近隣の生活環境を悪化させたり、公共の場所を汚さないようにしよう。また、動物の種類に応じてしつけや訓練をして、人に危害を加えたり、鳴き声などで近隣に迷惑をかけないように努めること。

3.むやみに繁殖させないようにすること
動物にかけられる手間、時間、空間には限りがある。きちんと管理できる数を超えないようにすること。また、生まれる命に責任が持てないのであれば、不妊去勢手術などの繁殖制限措置を行うこと。

4.動物による感染症の知識をもつこと
動物と人の双方に感染する病気(人と動物の共通感染症)について、正しい知識を持ち、自分や他の人への感染を防ぐこと。

5.盗難や迷子を防ぐため、 所有権を明らかにすること
飼っている動物に対して、飼い主であるということをあきらかにすること、名札などをつけて迷子になっても飼い主への連絡ができるようになど対策をとること。

クロワッサン特別編集 身内がトラブルに遭ったときの手続き』
— マガジンハウス 編
定価:880円 (税込)

本書では法テラスのデータを元に、特に40代?60代の女性の相談が多かったにトラブル実例を紹介。
それをケーススタディとして、法律的に適切な対処法をレクチャーしていきます。
まさに「困ったときの法頼み」。一家に一冊必携です。

監修:
田中晴雄(たなか はるお)さん/弁護士
早稲田大学法学部卒。昭和62年に弁護士登録。平成10年に田中晴雄法律事務所を開設し、代表を務める。平成16年日本弁護士連合会事務次長に就任。平成25年~29年9月まで日本司法支援センター常務理事。相続、交通事故、離婚、債務整理、不動産トラブル、企業法務などの案件に取り組んでいる。

太田晃弘(おおた あきひろ)さん/弁護士
平成16年に弁護士登録。平成18年に法テラスのスタッフ弁護士となり、岐阜県へ赴任。司法過疎地での弁護士業務に取り組む。平成22年から東京パブリック法律事務所で司法アクセスが困難な高齢者・障がい者の案件に取り組む。平成24年に法テラス東京法律事務所に所属。社会福祉士・精神保健福祉士。

編集協力:日本司法支援センター(法テラス)、独立行政法人国民生活センター、 新宿区福祉部高齢者支援課(新宿区役所高齢者総合相談センター)、 悪質商法評論家 多田文明、武蔵野大学教授 佐藤佳弘

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