「私は戦前生まれで、疎開もしました。国と国とが戦争をするような大きな力が動いているときに、子どもの意思なんて通らない。全部大人の都合。子どもの無力さをしみじみ感じていましたね。そんな経験が強制徴募の子どもたちと重なったのかもしれません」
ところで、戦闘に参加することになった彼らはある不思議な体験をする。そのキーワードは“塩”、そして“地下”。
「命の根源のようで、昔から塩に興味がありました。『塩の世界史』(M・カーランスキー)という本を読み、これを使えば、離れた世界をつなげられる!と。あと、クストリッツァ監督の『アンダーグラウンド』という、地下に隠れて生活する映画があったでしょ、地下には国境がないな、とも思って」
皆川さんの好奇心の旺盛なこと。
「知らないことばかりですから。調べていろいろわかるようになるのはおもしろいことですよ。この年ですからもう海外は無理なんですけれど……トルコの町には行ってみたかったと心から思います」