そんな藤村家に大きな転機が訪れる。亜実さんが20歳の時に藤村さんが別居を決意。家族の前で「家を出ていく」と宣言するのだ。
「いきなりでしたが、姉と僕には『君たちとの関係は変わらない』と言ったので、親父が考えたことなら受け入れようと思いました」
その後、亜実さんは単身渡米して、現地でCMコーディネーター業に就く。藤村さんとは電話や仕事を通じてやりとりはあったが距離感を覚えることが多くなる。
「このままでは親父の子どもとして生まれた意義がわからないままで親子関係が終わることになると思って、帰国を決めました」
戻った後には念願の親子暮らしも始め、新しい絆を作ろうというなか、藤村さんは小脳の出血で緊急入院する。亜実さんはそれから1年3カ月にわたり、つきっきりで藤村さんに寄り添う。