一方で、秋田犬の歴史は意外と浅い。幕末から明治時代に、東北地方のマタギ犬に超大型の洋犬種の血が取り入れられ、誕生した。定義が定まってきたのも1938年と昭和に入ってからで、それからも少しずつ変化している。
「取材を丸3年する中で、『たかだか明治以降の犬なのに』と、秋田犬の血を守ろうとする動きに疑問を持ったことも少なからずありました。でも、近代国家の日本人の気持ちを投影した『和魂洋才』の品種だとわかり、やや複雑な歴史も含めて、次第に魅力的に感じるようになりました。最近では海外で各国の好みに合わせて繁殖されています」
秋田犬といえばハチ公を連想する人も多いだろう。宮沢さんは忠犬ハチ公物語についても、2つの真実について裏付けをとり言及する。