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口あたり優しく手になじむ。漆の器の使い方をスタイリスト・高橋みどりさんに聞く。【前編】

どうも高級そうで扱いにくい。そう敬遠されがちな漆の器ですが、熱いものを入れても持ちやすく、軽く、機能的。漆とうまく、気軽につきあうコツをスタイリストの高橋みどりさんに聞きました。

撮影・合田昌弘 スタイリング・高橋みどり

〔皿〕大きめの平皿なら、和にも洋にも使えます。

口あたり優しく手になじむ。漆の器の使い方をスタイリスト・高橋みどりさんに聞く。【前編】

椀についで身近で使いやすいのは、菓子皿や取り皿などの平皿だが、高橋さんが紹介してくれたのは直径27cmのやや大ぶりなもの。作者は、輪島塗で下地職人として活躍し、20数年前から独自の塗りの世界を追求している長井均さん。高橋さんは個展でこの皿の、深みのある色にひとめぼれしてしまったのだという。
「長井さんはこの色を茜と呼ぶそうです。あまり使い道を決めずに、この色に惚れ込んで手に入れたのですが、使い始めてみたら、大きさも端の立ち上がり具合もすべてがちょうどいい。自然といろいろな使い方を楽しむようになりました」
たとえば、いちじくやチーズなどの酒の肴を少しずつのせると、雰囲気のいいオードブルプレートになる。また、あつあつのカリフラワーのリゾットをフランスの古い磁器皿に盛り、アンダーディッシュにこの皿を敷くと、シルバーのスプーンとの相性もよく、全体の色彩が美しく調和する。

そもそも、すでにぴったりの器があるのに、漆の器にパスタを盛ったり、洋風に使うことに意義を感じなかったという高橋さんだが、この皿と出合って、「こんなのもいいかも」と、少し視点が変わってきた。
「お正月には、この一枚にからすみや黒豆をのせて。なますなど汁気のあるものは小さな輪花の器に盛って合わせれば、ちょっとかしこまった設えになる。“ハレ”にも“ケ”にも、日々活躍する。漆の器は懐が深いなあと思います」

九寸皿・長井均 作
輪島塗の下地職人を経て、自らの作風を確立した長井さんの九寸皿とは、個展で出合った。「長井さんは茜と言っていましたが、なんといってもこの色が好きです」。自分なりに器の使い方を考えるのも楽しい。直径27cm、高さ2.3cm 2万円 問い合わせ:長井漆工 TEL 090・2378・2083

 

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