食卓がパッとしないのはなぜ? 山本千織さんに聞く、盛りつけの法則。
撮影・高杉 純 スタイリング・矢口紀子
いつもの食卓に新しい風が吹く、プラスするならこの2品。
[トレーを活用する]器として使うと、盛りつけの発想を切り替えられる。
「トレーやお盆を、食器としてどんどん活用するといいと思います。木の質感で食卓に変化がつくし、大皿料理の際も、各々の取り分け皿の下に敷くだけで特別感が」(山本さん)
縁まで平たいトレーを食器として使うと、端まで均等に使えるのも便利。また、お弁当作りを生業とする山本さんらしい持論が。
「いろんなおかずを、一人分ずつ美しく盛った皿を見ると、気分も食欲もアップするんですよね」
人数分のトレーを準備し、銘々に盛りつけておけば、来客時のおもてなしとしてもふさわしい雰囲気に。
目を引く素材を散らした、絵画のようなオードブル。
平皿に盛るより格段に個性が出た一皿。ここではイチジクを使用したが、ブドウやカラートマトなど、小さくてデザイン性が高いものを置くと皿全体が瞬時に華やぐ。水分のないものでそろえると盛りやすい。
「少し」を「たくさん」、晩酌も盛り上がる。
大皿から好きなだけ、もいいが、“私の分”だけの美しいお膳。トレーの上の豆皿で、汁気の有る無しなど様々なおかずにも対応。野菜を器に見立てる遊び心も。市販のレバーペーストを詰めただけでも特別な一品に。
[葉を加える]色彩を足したり 高さを出したり、実は万能な味方。
盛りつけの印象をがらりと変えてくれるのが、いわゆる葉もの。
「仕上がりがちょっと地味かな?と思ったときは葉っぱの出番。料理と皿の間にグリーンが一枚入るだけで、驚くほど鮮やかになります。特別なものを準備しなくても、庭の木や、家庭菜園のハーブなども季節感が出ておすすめです」(山本さん)
また葉を使うことで皿全体に立体感を出すこともできる。
「レタスなどの外側の葉も、盛りつけに取り入れてみてください。料理の下に敷いて高さを出したり、そのまま器として使っても素敵です」
黒いお皿に茶色いおかず。葉一枚でぐっとシックに。
色がより沈んでしまうと思う組み合わせだが、グリーンをかませると一転、あか抜けた印象に。葉が皿の模様のような役割も果たしてくれる。しいたけの肉詰めが木の実のように見える秋らしい一皿に。
安定しないおかずを自由にコーディネート。
春巻きなどの揚げ物は、滑りやすくて盛りつけ下手を悩ませる。そこで具としても使ったフェンネルの登場。残った葉の部分を敷いて滑り止めに。格段にポジションの自由度が上がる。香りも加わり、一石二鳥。
山本千織●料理人。「chioben」名義で行う弁当やケータリングは、新鮮な驚きのある味とプレゼンテーションで人気。レシピ入りのフリップブック(http://chiosk.net)が。
『クロワッサン』959号より
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