ドリー・パートン「I Will Always Love You」──別れのために生まれ、世界に愛された歌
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト 。今回は、カントリーミュージック界の伝説、ドリー・パートンが恩人であり相棒でもあったポーター・ワゴナーへ感謝を綴った名曲「I Will Always Love You」をご紹介。ホイットニー・ヒューストンによる世界的なカバーでも知られています。
文・高橋芳朗
カントリーミュージック界の伝説、ドリー・パートンが8月25日に亡くなりました。追悼とともに各地で流れているのが、ホイットニー・ヒューストンのカバーで知られる「I Will Always Love You」。実はこの曲は、ある別れのためにドリー自身が書いた曲でした。
その相手は、恋人ではありません。彼女を大スターへと導いた恩人であり相棒、ポーター・ワゴナー。二人三脚で歩んだ日々に区切りをつけるのは、たやすいことではありませんでした。自立を志して彼のもとを巣立つ決意を、ドリーは一曲に託します。離れる寂しさと、それ以上の感謝を込めて。
この歌に惚れ込んだのが、かのエルヴィス・プレスリーです。彼はレコーディングを熱望しますが、陣営が突きつけてきた条件は権利の半分を譲ること。エルヴィスに歌ってもらう夢か、歌を守るか。二つの思いに引き裂かれたドリーは一晩泣き明かし、それでも首を縦に振りませんでした。これだけは、誰にも渡せなかったのです。
その判断は、思わぬかたちで報われます。1992年、世界を席巻したホイットニーのカバーの報酬により、ドリーはオフィスを構えて「ホイットニーが建てた家」と名づけました。それから30余年。かつてたったひとりへ贈られた別れの歌は、いま世界中の人々の声にのって天国のドリーへと届けられています。いつも、あなたを愛している、と。
『クロワッサン』1175号より
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