歴史ある建物に想いを馳せながら泊まる。スタイリストchizuさんの京都旅。
撮影・文 神保亜紀子
1933(昭和8)年に建てられた京都市立清水小学校。約80年にもおよび地域に愛されたかつての学舎に、モダンな息吹を吹き込みラグジュアリーなホテルとして誕生した「ザ・ホテル青龍 京都清水」。東山エリアに位置し、至近距離にある三年(産寧)坂や清水寺には好アクセス、“八坂さん”の愛称で親しまれる法観寺の八坂の塔はホテルの目の前にそびえ立ちます。
かつての小学校の思い出を継承する館内のデザイン
館内は建築会社の文化保存チームによる修復が施されており、小学校の記憶をそのままに感じることができる、不思議な空間。「ここの卒業生でなくとも、幼かった時代の記憶が蘇ってきますね。とてもあたたかな気持ちになります」(chizuさん)
かつての教室を改装した客室は平均50平米と、ゆったりくつろげる広さ。白を基調としたモダンなインテリアが、クラシカルな校舎の面影を引き立たせます。
また、館内のいたるところには注目すべきディテールが。
たとえば木材でできた階段のへりや手すりは一旦解体し、洗浄してから元の場所に戻すという、とても手間のかかる作業を丁寧に行ったそう。よく見るとへりは真ん中あたりがすり減り、手すりはあちこちにキズが残されており、当時の記憶をそのままに保存されています。
「当時、子供たちが階段を駆け上がったり、悪戯しながらここに名前を刻んだりする画が目に浮かびます」と、chizuさんにも笑顔が溢れます。
好立地なヘリテージホテルならではの過ごしかた
好立地なホテルだからこその景観も魅力。
全面ガラス張りの宿泊者専用のラウンジは、八坂の塔が目の前に。四季折々の眺めとともに、軽食やドリンク、また抹茶のお点前体験などが楽しめます。夜のカクテルタイムではワイン、ウイスキーなどのアルコールも提供され、自分だけの時間をゆったりと楽しめます。
「自然に囲まれた立地だからか、自宅のリビングにいるみたいにくつろげる。せっかくだから抹茶も点ててみたり、夜はお酒を嗜んだり、ゆっくり過ごしたい場所です」(chizuさん)
また、4階のバー「K36 The Bar & Rooftop」は、京都の街並みや八坂の塔が間近に見ることができる、京都の絶景スポットとしても知られています。
敷地内にある「ブノワ 京都」でフレンチビストロを
ディナーは楽しみにしていたフレンチビストロの「ブノワ 京都」へ。ホテルと同じ敷地内にあるので、移動も楽でありがたい!
コースは、スターター2品、メイン1品、デザート1品とちょうど良いボリューム。
春の食材を使ったビストロ料理を一皿一皿じっくり味わいながら、スタイリストの琴線に触れたのはトリコロールカラーをあしらったお皿やカトラリー、グラスなどのテーブルウェア。店のスタッフに質問すると、テーブルウェアや調度品は「ブノワ」を監修するアラン・デュカスさんによって揃えられたとか。
「フランス家庭料理の定番が今や嬉しい。バターナイフやグラスがあえて不揃いだったことで、おうちに招かれたような温かみを感じて、気分が盛り上がりました」(chizuさん)
大好きな京都の旅も、いつもとちょっと違う体験をしたというchizuさん。「小学校の面影を、これほどまでに丁寧に残し、継承していこうという気概は宿泊して分かるもの。ここでの時間の流れかたは非日常で、久しぶりの京都にぴったりな滞在でした。次回は私と同じく京都が好きな実姉と姉妹でゆっくり滞在したいと思います」
chizu
スタイリスト。食まわりからインテリアなどライフスタイルのスタイリングをはじめ、店舗・商品開発にも携わる。
ザ・ホテル青龍 京都清水
住所:京都府京都市東山区清水二丁目204-2
TEL:075-532-1111
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