「⽇本⾹堂」450年から学ぶ、日本の香りの今昔
撮影・文 中森りほ
1500年の歴史を誇る、日本の香文化
世界に誇る⻑い歴史と深さをもつ⽇本の⾹⽂化。仏教とともに⽇本に伝えられたとされ、その歴史は1500年にも及びます。
最も有名な⾹⽊といえば、聖武天皇以来(1200年前)正倉院に秘蔵されている「蘭奢待(らんじゃたい)」。天産物である⾹⽊には芸術作品のような「銘」(題)がつけられており、「蘭奢待」も室町時代にその名が世に知られるようになりました。
「⽇本⾹堂グループ」の起源は織田信長が天下を掌握した1575年、安田又右衛門源光弘によって誕生した「香十」にさかのぼります。第3代安田政清は豊臣秀吉御用、4代政長は徳川家康に仕えており、時の権力者と近しい関係にあったそうです。1700年代になると「香十」は茶道各流派家元へ薫物を納め名声を得ました。
1800年代になると茶道家元への「九重」、「若草」、光格天皇の献上薫物「千歳」などの名香を納めた「香十」。第14、15代十右衛門は江戸末期の京都の蘭学・博物学者山本亡羊の学塾に参加し、西洋の香りの研究にも努めるようになりました。
その後第17代高井十右衛門により小仲正規に譲渡され、現在の日本香堂HDSへと継承されています。
香道から、現代に広がる「香りを聞く」文化
日本古来から続く香道では、香りを嗅ぎ分けることを「聞く」、もしくは「聞香」(ききこう、もんこう)と言います。「聞香」は香りを嗅ぎ分けることから始まり、感覚を呼び起こすことで終わります。この「⾹りを聞く」という体験を通じて、感性をより深く研ぎ澄ます機会を提案する「450プロジェクト“聞く〜awake your spirit〜”」が、今年450年を迎えた「⽇本⾹堂グループ」で4月8日より始まりました。
発表会では書籍『⽇本の⾹ The scent of Japan』発売をはじめ、御家流⾹道第⼆⼗三世宗家・三條⻄堯⽔の銘名⾹「羅國しらべ」をお披露目。平安時代の⾹りを再現した「六種の薫物」や、お香と清酒を掛け合わせた「暁霞 -akigasumi-」、⾹⼗の伝統を継承し、最高の⾹原料と最新の技術で作り上げられた新作のお香「⾼井⼗右衛⾨」も発表されました。
また、日本香堂グループが展開するフレグランスブランド「Yohaku」のピュアポプリや、メゾンフレグランスブランドとして2018年に誕生した日本香堂グループの「KITOWA」、1979年に南フランスで創業した「エステバン」の新商品もお目見え。古来から現代に至るまで、様々な香りを聞くアイテムが一堂に会しました。
さらに鳩居堂と松栄堂と日本香堂が手を取り合い、2025年4月18日(金)から5月18日(日)まで、和の香文化に親しむ特別イベント「香り博」が東京と京都で同時開催されます。室町時代より伝わる「香道」や、自らの感性で調香する「匂い香づくり」など、15種類全57回の体験型ワークショップなどを実施。日本の美意識や香りがもたらす心地良さなど、香りの魅力を再発見してみては?
広告