『産む気もないのに生理かよ!』著者・月岡ツキさん「本を書いたことで考えがクリアになった」
撮影・中島慶子
〈「子供は持たない、いらない」とキッパリ言い切って、自分に言い聞かせているうちに“そっち”に流れて、本当にそれでいいと思えるようになってしまったほうが楽なのかもしれない。もう「子供を持ったほうがいいのかどうか」で悩まなくて済むから〉
産まない選択をしたけれども、そこに至るまでは大いに悩み、ゆらぎ、いまだ逡巡しているところもある月岡ツキさん。
〈「子供を持たない理由」を列挙してみたら40個あった〉などユーモラスな筆致で、真正直な思いを書き綴った。
「本にするまでの間は、本当にこれでいいのか、あまり良くないほうを選んでいるんじゃないか、世の中的にも自分の人生的にも良しとされないんじゃないかといった迷いや不安、そして少子化に加担している罪悪感みたいなものがありました。
でもあとがきを書くころになってくるともう、子供を産んでいようがいまいが、自分のコアな部分は変わらないから問題ないと思い始めて。出産した友だちだって、確かに優先順位など変わってしまった部分はあるけれど、人としての良さとか私が友だちになりたいなと思った部分は変わってないので。だから、何周か回って、ポジティブな“どっちでもいい”気持ちになりました」
それにしても、ギョッとするタイトルだ。誰もが足を止めて見入ってしまう、そんな力がある。
「最初はもう少し無難なタイトル案もあったんですが(笑)。生理の問題って、ずっとあるのに目に触れられないテーマな気がして。だから例えば本屋さんでこのタイトルが目に入って、ああ、確かにそうだよなとすぐに思ってもらう必要があると思ったんです」
上の世代の方からも感想をいただいたのはうれしかった
その視点の鋭さは本書の至るところでも発揮され、「産む気」を考える年をとうに超えた身にもグサグサ刺さってくる。特に〈母になることで失われるアイデンティティ〉、〈子育てをする上での社会への不安〉の章は、令和になっても母親の役割がアップデートされていない現実を再認識させられる。
「はい、少し上の世代の方たちから、『自分は子を持ったけれども、それにまつわるいろんなつらさがあったことを掬ってもらえた気がした』と言っていただいて、とてもうれしかったです」
同世代からは、代わりに言語化してくれたという感想が多い。
「私自身も、本を書いたことによって考えがクリアになって、子供を産まないというスタンスが定まってきました。とはいえ人生って100%のことは言えないし、5年先のことだって全然わかりません。ただ、仮に何年か後になってやっぱり子供がほしい、でも身体的に難しいかもしれないとなったとしても、今の31歳の私がここまでとことん考え抜いたという事実は変わらない。ひたすらに考え尽くした末の決断だったら、未来の私もきっとわかってくれるんじゃないかなと思います」
『クロワッサン』1135号より
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