調理法や盛りつけ、市販品の活用——介護の食をおいしく支える8つのヒント
撮影・青木和義 スタイリング・渡邊美穂 イラストレーション・fukucoco 構成&文・薄葉亜希子
おいしく食べる、栄養もちゃんと摂る。8つの工夫
1. 香り、酸味、辛味で食欲スイッチをオン
どうも食が進まない。そんなときは香りや風味づけを試してみよう。
「野菜炒めにカレー粉や山椒を振りかけたり、青菜をゆず浸しにしてみたり。香りにつられて食べたいというスイッチが入ります。味覚が落ちても酸味は感じ取りやすいので、梅干しやもずく酢などもおすすめ。もし酸味にむせてしまうなら、お酢を一度電子レンジにかけてやわらげてから使うといいでしょう」(中村さん)
調理する際は、親が“自分で選ぶ”ことも大切と続ける中村さん。
「たとえば焼き魚と煮魚。食べやすいのはやわらかい煮魚ですが、どっちがいい?と選択肢を与え、味はどう?と味見してもらう。些細なようですが、“自分で味を決めた”という満足感から残さずに食べようとしますよ」
「歳をとるとシンプルな献立、カレーや肉じゃが、卵とじといった昔からなじみのある料理を好むようになります。反対に目新しいものは苦手に」
好きな献立にひと手間の香味を。食事が楽しみになるサポートをしたい。
2. 食べたい、を促す盛りつけの工夫
おいしそうな見た目に食欲がそそられることは誰しも経験あるもの。特に視覚機能が落ちる高齢者には、香りの刺激だけでなく盛りつけにも気を使って食欲をアップ。
齋藤さんによれば、「以前、病棟で白い茶碗におかゆを出していたのを、黒い茶碗に替えたら残す量が減ったことがあるんです」。
器やテーブルマットの色使いなどコントラストを意識するといい。一方で、「認知機能が衰えてくると情報量の多さが苦手になってきます。食事はひと皿ずつ出す、柄がたくさんの器は避けるなどの工夫もするといいでしょう」
3. 栄養補給におやつが強い味方
おやつは間食ではなく“補食”。カルシウムを摂れる牛乳やチーズ、ヨーグルト、食物繊維にはさつまいもやフルーツを。たんぱく質が摂れる市販のおやつも心強い。ドリンクやゼリーなど豊富にそろう中から好みで選んでみよう。
さらに中村さんのおすすめというあんこのレシピを教えてもらった。
「味の記憶が深く刻まれているからでしょうか。それこそ終末期になった患者さんでも食べたいと最後まで望む人が多いのがあんこなんです。冷凍のブルーベリーを煮てこしあんを加えて煮詰める『ブルーベリーあん』はなめらかでおいしく、ビタミンも一緒に摂れますよ。簡単なので試してみて」
少量で高カロリーな市販のおやつ
1個200kcal。素早くエネルギーを補い、たんぱく質も補給。
乳酸菌の発酵で豊かな風味と消化吸収のよさを実現。
MCTオイルを6g配合し、1個わずか25gで100kcal。
広告