中野聡美さんと行く、伊勢神宮【内宮編】
撮影・黒川ひろみ イラストマップ・山里美紀子 文・長谷川未緒
【伊勢神宮】
鎮座以来、国の安寧と国民の幸せを祈り続けてきた聖なる社。
内宮(ないくう)|皇大神宮(こうたいじんぐう)
内宮の創建は垂仁(すいにん)天皇26(紀元前4)年。ご祭神の天照大御神は万物を育む太陽の神とされ、日本人の総氏神である存在だ。五十鈴川にかかる宇治橋を渡ると、厳かな空気に満ちた神域へ。
「川のほとりの深い森に囲まれた内宮に身を置くと、新しい自分に生まれ変わるよう。大いなる存在を信じ、お力を借りてがんばろうと思えます」
伊勢神宮では今でも年間1500回ほど祭事が行われるが、最大の神事が20年に1度の「式年遷宮(しきねんせんぐう)」。東西に隣り合う宮所を入れ替え、全く新しい社殿を造営し、御装束神宝(おんしょうぞくしんぽう)もすべて新調することで「常若(とこわか)」とも。次回は令和15(2033)年だが8年の歳月を費やすため、’25年には祭事が始まる。いつか伊勢へ、を叶える良い機会になりそうだ。
五十鈴川(いすずがわ)
参道右側のゆるやかな斜面をおりていくと、徳川綱吉の生母・桂昌院(けいしょういん)が寄進したとされる石畳が敷き詰められた五十鈴川御手洗(みたらし)場がある。澄んだ流れで手水を行い、身も心もお清めしよう。
新緑や紅葉など、四季折々の風景も楽しめる五十鈴川は、川魚もいる清流。
神楽殿のお神札授与所の屋根。外宮と内宮では授与品が異なる。伊勢神宮にはおみくじはないが、誰もが願う一生に一度の参宮が叶った時点で、万事が吉とのこと。
荒祭宮(あらまつりのみや)
天照大御神の荒御魂を祭る第一別宮。正宮の北側後方、小高くなった場所にある。荒御魂は神が現れた状態ともいわれ、正宮で感謝の祈りを捧げたあと、このお宮でお願いごとをする人も多い。
荒祭宮は、外宮の多賀宮と同様に遙拝所もあるので、足腰が悪くても心配無用だ。
正宮(しょうぐう)
宇治橋から約800m続く玉砂利の参道左手にある25段の石段を登った先が、天照大御神をお祭りする正宮だ。白い布は御幌(みとばり)。正殿は4重の御垣に囲まれているが、門を開いたとき正面が見えないようかけられている。
正宮。伊勢神宮では天皇以外のお供えは禁止されていたため正宮に賽銭箱はないが、布が敷かれているのでお賽銭をするならその上に置くとよい。
風日祈宮(かざひのみのみや)
五十鈴川支流の島路川にかかる檜造の風日祈宮橋を渡った先にあるお宮。ご祭神は外宮の風宮と同じ、風雨を司る級長津彦命と級長戸辺命。唯一神明造の屋根の特徴がよくわかる。
風日祈宮は参道から少し離れていることもあり、静かで落ち着ける。
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