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プロがチェック、その常備食で大丈夫?

防災備蓄収納マスタープランナーの三原麻弓さんが2人の備えをチェックしました。

撮影・小川朋央 文・長谷川未緒

柳沢小実さん

都内で夫とふたりで暮らすエッセイストの柳沢小実さんは、趣味のキャンプ用食料をメインに備えている。

「山でキャンプをするときの食事は、ライフラインが止まっている状況と同じなので、常備食に向いています。賞味期限が長めで常温保存でき、食べ慣れているので安心感もありますね」

旅先でよく買う食材や、ふだんの料理に使う缶詰や昼食用の即席麺などもローリングストックで常備。非常時にも楽しみを見出しながら、少しでもふだんの状態を保つことが目標だ。

「野菜や果物が足りませんが、生鮮食品の買い置きは食べなければとプレッシャーを感じるので、いつも食べきる量しか買っていません。できる範囲で備えたいと思っています」

“夫婦ふたり分の常備食は好物や趣味のものが中心。” 柳沢さん

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

ローリングストックは数を決めて管理。

必要な品と数をメモに書き、不足分は忘れずに買い足す。
必要な品と数をメモに書き、不足分は忘れずに買い足す。

ローリングストックしている食材はキッチンに備え付けの引き出しに収納。大豆やコーンの缶詰、即席麺、即席汁、レトルトカレー、おかゆ、ごはんパックなどを定量で。

いつものおやつを多めにストック。

仕事の合間に休憩する際は、お気に入りのお茶とお菓子が必需品。非常時もきっと甘いものがほしくなるし、1食くらいお菓子でもいいと考えているため、多めにストック。

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

旅先で買うお土産を災害用としても。

台湾やタイに頻繁に通う柳沢さんには必ず買う即席麺やバクテーの素などがある。キッチンのシンク横のボックスに入れておき、ふだんの昼食としても、非常用としても備蓄。

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

災害時は米と餅でエネルギー補給。

即席麺や乾麺も備えているが、やはり非常時は食べ慣れたお米が食べられるように多めにストック。腹持ちがよく、他の食材と合わせやすいお餅も食べ回しながら備蓄。

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

キャンプ用の道具や食糧は安心材料。

夫婦の趣味がキャンプで、電気、ガス、水がない山で使うものは非常時にもぴったり。コンロも風が吹いても消えないタイプや軽量で持ち運びに便利なものなど数種類保有。

水や湯を注ぐだけのキャンプ用食料は、袋が器になる仕様。
水や湯を注ぐだけのキャンプ用食料は、袋が器になる仕様。

三原さんのアドバイス

道具の仕様や食材の保存法の確認を。

大人ふたり分の備えですから、好きな食べ物で問題ないと思います。カセットコンロなど、キャンプ用と兼用のものも多いとのことですが、キャンプ用の道具は屋内で使えない場合があるので、仕様の確認を。お米を入れているガラス瓶は、首都直下型地震が来た場合、割れる恐れがありますから、扉のついた棚にしまうか、割れない素材のものに入れ替えましょう。お餅の備蓄はとてもいいですね。長期保存できるお餅がおすすめです。停電時にどう加熱して食べるか、考えておかれるといいでしょう。

水谷妙子さん

「災害への備えは、いつもともしもを区切らず、グラデーションのように考えるようにしています」と語るのは、整理収納アドバイザーの水谷妙子さん。小学生の子ども3人と夫の5人暮らし。毎日の食事作りでは自分がラクをするためもあるが、子どもに慣れてもらうためにもレトルトカレーや即席スープなどをときどき利用。ふだんから食べている乾物の副菜は、火を使わずに作れるため災害時にも役立つはずだ。大量に必要な水と食料はキッチンと寝室に備蓄しているが、置き場所は悩み中。

「1月の能登半島地震のときに新潟の実家で被災しました。もしものときにはパニックになるとよくわかったので、家族も見てすぐにわかるように備えたいと思い、試行錯誤しています」

“家族5人分の食料と水をしっかり備蓄しています。” 水谷さん

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

お助け食材や必需品をローリングストック。

レトルトカレーや即席スープ、副菜用の乾物などをキッチンの引き出しに収納。疲れて料理をしたくない日などに使ったらその後補充。プラスチックケースで量を管理している。

冷蔵庫に乾物を常備し、栄養不足を解消。

乾燥わかめや高野豆腐、桜海老、切り干し大根などの乾物は日々の必需品。非常時に不足しがちな栄養を補えるため、これとは別にさらに1パックずつストックしている。

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

実家から送ってもらう米を20kg以上備蓄。

実家は新潟で米農家をしているため、常においしいお米が届く。家族5人分の主食をレトルトパックなどで揃えると大量になるため、非常時も炊飯してしのぐ予定だ。

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

水はベッド下に収納し、誰でもわかるように。

90リットル以上と大量にストックしている長期保存用の水は、ベッド下に。埃よけのカバーをし、掃除も頻繁にして清潔に保っている。賞味期限はラベリングして管理。

プロがチェック、その常備食で大丈夫?

長期保存できる食材は枕元にボックス収納。

長期保存用の食品は種類ごとに袋に入れて賞味期限をラベリングし、3月と9月にチェック。場所がないため窓が近い場所に置いているが、温度の管理には気を使っている。

家族が好きなカレーライスセットや、フルーツなどを備蓄。
家族が好きなカレーライスセットや、フルーツなどを備蓄。

三原さんのアドバイス

水は長期保存用がおすすめ。

よく準備されていますね。家族の誰もがわかる場所に置かれているのはとてもいいと思います。備蓄品の置き場所がベッド下や窓近くの場合は、水谷さんも実行されているように、室温のチェックや掃除を徹底するほか、除湿器の利用がおすすめです。3人もお子さまがいらっしゃると、日々飲むものは多めに用意されていると思います。それも災害時には飲料のローリングストックになりますね。また、断水時に役立つ水を長期保存水にされているのも管理が楽で、賢い選択です。ちなみに長期保存水は、中身はミネラルウォーターと同じですが、容器の厚みや材質で長期保存が可能です。

  • 三原麻弓

    三原麻弓 さん (みはら・まゆみ)

    防災備蓄収納マスタープランナー

    「防災備蓄収納暮らし」代表。自身の被災体験や防災士の知識から、プチプラ備蓄や日常を邪魔しない備蓄収納などを伝えるセミナーが評判。

  • 柳沢小実

    柳沢小実 さん (やなぎさわ・このみ)

    エッセイスト

    衣・食・住・旅にまつわる情報を発信。近著に『わたしのごほうび時間 大人のゆったり旅』(大和書房)。

  • 水谷妙子

    水谷妙子 さん (みずたに・たえこ)

    整理収納アドバイザー

    無印良品で生活雑貨の商品開発を担当後、独立。現在は主に整理収納術についてメディアでの情報発信を行っている。

『クロワッサン』1124号より

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