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女性が活躍する「こみち噺(ばなし)」、男性落語家が初めて演じます。

撮影・森山祐子 文・越川典子 撮影協力・新宿末廣亭

女性が活躍する「こみち噺」、男性落語家が初めて演じます。

柳亭こみち(りゅうてい・こみち)さん●落語家。早稲田大学卒業後、出版社勤務をへて、2003年28歳で七代目柳亭燕路に入門。人間国宝・柳家小三治の孫弟子となる。2006年二ツ目、2017年真打昇進。「こみち噺」も持ち味だが、日本舞踊の名取で、舞台で踊り、唄も披露する。
柳亭こみち(りゅうてい・こみち)さん●落語家。早稲田大学卒業後、出版社勤務をへて、2003年28歳で七代目柳亭燕路に入門。人間国宝・柳家小三治の孫弟子となる。2006年二ツ目、2017年真打昇進。「こみち噺」も持ち味だが、日本舞踊の名取で、舞台で踊り、唄も披露する。

「死神」ならぬ「死神婆」。「あくび指南 女版」。「井戸の茶碗 母と娘編」。あの「らくだ」に、何と彼女が登場する「らくだの女」――柳亭こみちさんが創作する「こみち噺」が今、大人気だ。

演じるのが男性落語家、登場人物も99%男性という古典落語の世界で、女性を主人公にしたり、新たに女性を登場させたり。昨夏の『この落語、主役を女に変えてみた』は、発売と同時に売り切れ、満員札止めとなったという。

こみちさんと言えば、落語協会で女性落語家が結婚したのも初ならば、2児の母親で真打になったのも落語界史上初と、話題になった。

「真打昇進時は授乳中でしたね(笑)。古典をまっすぐに演(や)ってきましたから、当時は女性落語家という呼び名がイヤでたまらなかった。でも、女性である私が演じる死神は、どうやっても凄腕の男性落語家のリアリティにはかなわない。考えに考え、死神を老婆版にしたところ――」

寄席で、どかんと笑いが起きた。

「女性が活躍している噺は、何より私自身が楽しんで演れるんです」

高座では化粧もし、女ものの着物で演じるのも、師匠・柳亭燕路(えんじ)さんの「誰でもない、おまえらしく演ればいいよ」の言葉があってこそ。大師匠の故・柳家小三治(こさんじ)さんは「誰かがパイオニアにならないと、あとがない」と後押ししてくれた。

「古典の男性が演じられないから女性を主人公にしている、と思われてはいけない。そうではなくて、今リアルに生きている私や、客席の女性たちのいのちを古典落語に吹き込みたいと思っています」

最近では、楽屋で、先輩落語家に聞かれることも増えた。
「今日も“女”やるのかい?」と。

こみち噺の数も70を超えている。

6月の『この落語、主役を女に変えてみたⅡ』では、初めて男性落語家がこみち噺を演じる。

「今からどきどきしています。こみち噺をいろいろな落語家に演じてもらうのが夢でしたから。女性のお客様も増えてきた今この時代の噺を、未来へ残していきたいですね」

この落語、主役を女に変えてみた ~こみち噺スペシャルⅡ~

女性が活躍する「こみち噺(ばなし)」、男性落語家が初めて演じます。

若手女性落語家がこみち噺を演じた第1回は大人気に。今回、第2回で、初めて男性の落語家が女性版を演じる。

日時:6月1日(土)は女子の部、6月15日(土)は男子の部。
共に19時開演 
東京・日本橋社会教育会館8階ホール 全席指定3,500円 問:ごりんや TEL 080・6554・0530 mail:goringya@gmail.com

第八十五回 大手町落語会

女性が活躍する「こみち噺(ばなし)」、男性落語家が初めて演じます。

柳家さん喬、柳家権太楼、柳亭市馬という柳家の大看板の中に、柳亭こみちも加わって、真打4人の競演。

日時:6月8日(土)
13時開演 東京・日経ホール
一般4,500円 
問:産経新聞社 落語事務局
TEL.03・3243・8343(平日11時~17時)

貴殿凄腕体当願候(きでんすごうでたいあたりねがいそうろう) 其の四 ~柳亭こみち、桃月庵白酒に二人会を申し込む の巻~

2021年から始まった、柳亭こみちが尊敬してやまない凄腕の先輩落語家に二人会を申し込む形で始まったシーズンも4回目。二席ずつ、たっぷり。

日時:9月11日(水)
19時開演
東京・深川江戸資料館小劇場
指定席3,500円 
問:こみちの会事務局 TEL.080・5469・3088

『クロワッサン』1115号より

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