早朝から大満足、京都で味わいたい8つの絶品朝ごはん。
観光や街歩きに先駆けて訪れたい、旅先での絶品朝食とは。
撮影・町田益宏 構成&文・矢吹紘子
【出町柳】旧三井家下鴨別邸(きゅうみついけしもがもべってい)
これぞ京都な精進料理でととのう朝のひと時。
京都に来たのだから、とびきりこの街らしい朝ごはんを体験したい。そんな旅の欲求を満たしてくれるのが『旧三井家下鴨別邸』だ。
三井家11家共有の別邸であった文化財の木造建築で、創業150年の京料理店『泉仙(いづせん)』の精進鉄鉢(てっぱつ)料理をいただけるイベントを通年で開催しているのだ
湯葉に利休豆腐、粟麩田楽といったこの地ならではの食材を取り入れた品々は、ヘルシーで素材の旨味がしっかりと感じられる。
托鉢の鉢を模した鉄鉢に盛られた様も美しく、気持ちまでシャキッと整うよう。食後は3階の“望楼”を見学。下鴨神社の鳥居に比叡山、大文字山。圧巻の景色を目の当たりにして、清々しい一日のスタートを迎えることができる。
●京都市左京区下鴨宮河町58・2
TEL.075・366・4321
TEL.9時~17時(16時30分受付終了)
水曜休(祝日の場合は翌平日休)
〈朝食〉9時~10時30分(8時45分〜受付)
入館料500円(土・日・祝600円)。
予約は京都観光Navi https://ja.kyoto.travel から。3名未満の日は実施されないので確認を。
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世界遺産・下鴨神社の南にあり一の鳥居はすぐ。緑豊かな糺(ただす)の森を歩けばリフレッシュに。高野川と賀茂川がY字に交流し鴨川となる部分〝鴨川デルタ〟も目と鼻の先。
【錦】小川珈琲 堺町錦店(おがわコーヒー さかいまちにしきてん)
京都の喫茶の進化形朝ごはんを、粋な町家で。
昭和27年の創業以来、京都の珈琲文化をリードし続ける『小川珈琲』。2022年にオープンした堺町錦店は、人気店『ル・プチメック』の創業者・西山逸成氏監修の食パンをベースにしたモーニングが自慢。
季節のサラダやポタージュなどサイドディッシュも豊富で、目移りしてしまう。
なかでもドイツ・ラインラント地方の郷土料理・ザウマーゲンを再現したポテト入りのソーセージは、新しい味への好奇心も、お腹の満足感も満たせる一品。有機認証を取得した豆を使い、ネルドリップで丁寧に淹れるブレンドコーヒーとの相性も抜群だ。築100年超えの京町家を改装したモダンな空間で、中庭を眺めながらのんびりくつろげる。
●京都市中京区堺町通錦小路上る菊屋町519・1
TEL.075・748・1699
営業時間:7時~20時(19時30分LO) 無休 モーニング7時〜11時
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「京の台所」でお馴染みの錦市場はすぐそこ。食材やお土産の買い物へ繰り出そう。錦天満宮や日本画家・伊藤若冲の生家跡もお忘れなく。北へ歩けば京都御所へ。
【河原町三条】六曜社珈琲店(ろくようしゃコーヒーてん)
これぞクラシック!老舗喫茶のモーニング。
戦後間もない昭和25年に産声をあげ、3代目となった今でも変わらず愛され続ける老舗喫茶。トーストとコーヒーという、いわば喫茶店のモーニングの王道をお目当てに、早朝から常連客が絶えず訪れる。メニューはゆで卵とジュースの有無で値段が変わり、その両方がついた「オールセット」も。
トーストは4枚切りとやや厚めで、断面までサクッと香ばしい焼き上がりは、〝パンはしっかり焼く〟という初代の好みを反映しているのだそう。
コーヒーは自家焙煎の深煎り豆のブレンド。どっしりとした味わいは、眠気覚ましの朝の一杯にうってつけだ。モーニングといっても正午まで食べられるので、少し寝坊した朝はここへ。
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河原町三条の交差点近く。個性豊かな店が並ぶ三条名店街や寺町通、五花街の一つである先斗町や歌舞練場、三条大橋も至近距離。鴨川沿いを散歩するのも楽しい。
【清水五条】CICON by NOHGAHOTEL(シコン バイ ノーガホテル)
充実のセミブッフェが今年からパワーアップ。
2022年春に開業した『ノーガホテル 清水 京都』のダイニング。メインの一皿を選び、パンやフルーツ、ドリンクは好きなだけというスタイルは継承しつつ、今年からさらに充実。
自家製パンの種類がぐっと増えたうえ、卵系のメインのつけ合わせはミート、フィッシュ、ベジタブルから選択して自分好みにカスタム可能になった。例えばオムレツのベジタブルなら、ソーセージの代わりにグリル野菜やフムスなどがつき、よりヘルシーな一皿になる。
スタイリッシュなカウンター席からゆったりとしたテーブル席まで、全120席を備える広々した空間は、ホテルのレストランならでは。春先は開放的なテラス席もおすすめだ。
●京都市東山区五条橋東4・450・1
TEL.075・323・7121
営業時間:7時〜10時(9時30分LO)、11時〜22時(21時30分LO) 無休 モーニング7時〜10時(9時30分LO)
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清水寺へは二年坂、三年坂を歩き20分ほど。八坂の塔こと法観寺や、北政所ねねゆかりの高台寺、縁切り神社で有名な安井金比羅宮が。京都国立博物館や三十三間堂も近い。
【四条烏丸】LeBonVivre(ルボンヴィーヴル)
アレもコレも思う存分!パン好き大満足のセット。
京都はパン好きの街。とりわけ大正2年に創業したベーカリー『進々堂』は、街のあちこちで目にする定番店だが、烏丸通に面した『ザ ロイヤルパークホテル 京都四条』の1階に店を構える『ルボンヴィーヴル』は、その特別版。
真っ赤な壁にパリの風景写真が飾られた、ビストロのような空間で、自慢のパンをおかわりし放題の「ブレッドサービス」付きモーニングセットを提供する。
メインはスクランブルエッグや目玉焼き、スープ系からセレクト。なかでもこんがりと焼かれたグリュイエールチーズが絶品のオニオングラタンスープは、この店のシグネチャー。塩けと甘みがクセになり、パンに伸びる手が止まらなくなる。
●京都市下京区二帖半敷町668
TEL.075・354・1788
営業時間:7時〜21時LO(日祝20時30分LO) 無休 モーニング7時〜11時
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ビジネスや買い物の中心地、四条烏丸エリア。南には五条通、西に足を延ばせば新撰組で知られる壬生へ。東本願寺まで歩いて、朝のおつとめの後に朝食をとるのもあり。
【岡崎】ThreeHORSES(スリーホースィズ)
絶景のテラス席で焼き立てスコーンを。
旅先で朝食の店を選ぶとき、味に加えて鍵となるのは、気分が上がる景色だろう。昨年3月にオープンした『Three HORSES』は、平安神宮の大鳥居を望み、目の前を流れる白川のせせらぎが心地よく響く、“ザ・京都”なロケーション。
オーナーが長年試行錯誤してたどり着いたというスコーンが評判で、オーガニックシュガー由来のほんのりした甘さと、ざっくりとした食感が特徴だ。軽食としても充分役割を果たすビッグサイズで、フレーバーもいろいろ。
今年1月からは新たにモーニングメニューとして登場。季節の野菜スープとセットでいただけるようになったのもうれしい。
●京都市左京区岡崎円勝寺町65
TEL.080・2579・1050
営業時間:9時~17時(土日祝~18時) 第3木曜休 モーニング9時〜11時
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近隣には風光明媚な庭園・神苑を擁する平安神宮や『京都市京セラ美術館』が。少し足を延ばして子授けウサギで有名な岡崎神社に参拝し、哲学の道へ向かうもよし。
【岡崎】シュイロ
上質な美山産の卵をさまざまなスタイルで。
のどかな田園風景が広がる南丹市美山町の平飼い卵メーカーが、昨年4月に旗艦店としてオープン。
抗生物質やホルモン剤不使用の卵「うちゅうの夜明け」をふんだんに使った朝ごはんは、和洋合わせて8種類。定番の卵かけご飯も捨てがたいけれど、おすすめなのが、とろりとした食感の湯葉たま丼。京都府産の大豆を使った『京・美山ゆば ゆう豆』の湯葉と出汁のきいたあんが、鮮やかな黄色の卵と絡み合い、するりと食べられる。
物販も充実していて、卵やマヨネーズなどのオリジナル商品に加え、日本各地の作家やブランドの器などもセレクト。お腹を満たした後、朝早くから買い物もできる。
●京都市東山区定法寺町368・1
TEL.075・585・4481
営業時間:8時〜21時(レストラン20時LO) 月曜休(祝日の場合は翌火曜休)
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平安神宮の参道に位置し、京都五山の別格・南禅寺へも徒歩15分ほど。南へ下れば庭が美しい青蓮院門跡。そこから知恩院や円山公園、祇園へと抜けることができる。
【四条河原町】富小路粥店(とみのこうじかゆてん)
鶏出汁の風味豊かな熱々お粥に、心ほっこり。
古くから出汁文化の最先端の地である京都。あえて変化球を求めるなら、毎朝7時にオープンする中華粥の専門店『富小路粥店』へ。
看板メニューの「中華とり粥」は、鶏出汁と、粒の形を保ちつつしっかり炊いた国産米を合わせた一品。優しい味わいで朝一番の冷えた体が温まり、ボリュームも満点だ。さらに大根餅や小松菜とエビ炒め煮といったおばんざいもハイレベル。
それもそのはず、店は木屋町の日本料理店『お料理めなみ』の3代目女将によるプロデュース。同店の人気メニューを含め毎日10種類余りが揃うので、好みであれこれ選んで、自分だけのセットを作ってみよう。
●京都市下京区徳正寺町41・2
TEL.075・744・0662
営業時間:7時~16時 水曜休
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市内中心地にあり、西へ向かえば祇園や風情あふれる宮川町、北上すれば京都御所へも徒歩圏内。バスを使えば二条城や北野天満宮、金閣寺へも楽にアクセスできる。
『クロワッサン』1113号より