投資という言葉から思い浮かぶイメージは、どんなものだろう?
「何やら機敏でアグレッシブな行動を思い起こさせますよね。そのせいで抵抗感がある人も多いのではないでしょうか。でも、これからお伝えする投資の本質は、それとは正反対。今、抱いているイメージを、ぐるりとひっくり返してほしいのです」と話すのは、多くの人に投資のアドバイスをしてきたカン・チュンドさん。
「投資とは、お金を育てること。畑に苗木を植えて、ときどき世話をしてやりながら実がなるまで気長に待つようなことです」
たとえば、あなたが畑(=元手)を所有していたとしよう。日本人の多くはそこに何も植えず、畑を他人(=銀行)に預けてしまう。せっかくいい土があるのに、その畑から収穫できる実りはない。ならば、自分で種を蒔くなり苗を植えるなりして何か育ててみたほうがいいのでは? それが投資をするということだ。
「うまく育つかどうかわからない不確実な部分もありますが、実がなったときの喜びは大きなものです。もし畑を他人任せにしていたら、その喜びは味わえません」
なんでも育つには時間がかかる。植えたらあっというまに実がなる木などないのと同じように、お金も、投資を始めたからといってすぐに増えるわけではない。
「時間をかけることが大切な理由は後ほど。育つまでのあいだ、やることはほとんどありませんよ。地味で凡庸で退屈なのが、投資というものの実際です」