くらし

歌舞伎、バレエ、ミュージカル…至極の芸術的舞台5選。

心もはずむ春爛漫のステージには、早くも今年の目玉と呼び声が高い作品がズラリ。
歌舞伎座では中村勘九郎・七之助兄弟が父・勘三郎の代表狂言『籠釣瓶花街酔醒』に初役で挑み、演劇ではオリヴィエ賞・トニー賞を総なめにした『インヘリタンス』が日本初登場。
バレエではめずらしい男性が主役の『ホフマン物語』に、ワーグナーが『ニーべルングの指輪』を中断してまで書き進めたオペラ『トリスタンとイゾルデ』、和製新作ミュージカル『ゴースト&レディ』まで話題作が揃いました。
  • 文・佐藤博之

Play ●『インヘリタンス ―継承―』

「自分の本質を理解しない限り、本当の意味で人と人は結び付くことはできないと思います」

そう語るのは演劇『インヘリタンス―継承―』の演出を手がける熊林弘高さん。一本一本を丁寧に演出する熊林さんが約2年ぶりに挑むのは前後篇合計約6時間半に及ぶ超大作。現代のN‌Yを舞台に、差別や抑圧を受けながら生きるゲイコミュニティの人々が真実の自分に出会い、愛を貫いていく、60代、30代、20代の3世代の人間模様が描かれる。

ニューヨークのゲイコミュニティの人々が差別や偏見を乗り越えて獲得したものとは――。前後篇6時間半で綴る感動の叙事詩。出演は、福士誠治、田中俊介、新原泰佑、篠井英介、麻実れい(後篇のみ)ほか。2月11~24日、東京芸術劇場プレイハウス。前後篇シングル券S席1万1500円、A席1万円、前後篇通し券S席1万8000円ほか。3月2日、大阪・森ノ宮ピロティホール。3月9日、北九州・J:COM北九州芸術劇場。R-15指定。

Opera ●『トリスタンとイゾルデ』

ワーグナーのオペラ『トリスタンとイゾルデ』も5時間45分に及ぶ超大作。政略結婚のため護送されるイゾルデは毒薬の代わりに愛の媚薬を口にする。恋したのは婚約者の従者トリスタンだ。赤い月の輝くなか、激しい恋に落ちるシーンは圧巻です。

デイヴィッド・マクヴィカー演出でセンセーションを巻き起こしたワーグナーの最高傑作。芸術監督の大野和士がタクトを執り、世界トップクラスのワーグナー歌いたちが集結します。出演はトルステン・ケール、ヴィルヘルム・シュヴィングハマー、リエネ・キンチャ、藤村実穂子ほか。3月14、17、20、23、26、29日。東京・新国立劇場オペラパレスにて。S席3万1900円~D席7,700円。(写真は新国立劇場「トリスタンとイゾルデ」2010年公演より 撮影:三枝近志)

Ballet ●『ホフマン物語』

英国が誇る振付家ピーター・ダレルの傑作バレエ『ホフマン物語』。流麗で美しいオッフェンバックの音楽に乗せて繰り広げられるのは、主人公ホフマンの華麗な恋愛遍歴。心を奪われる魅力的な3人の女性に加え、様々な役柄に姿を変えて登場する悪魔が重要な役割を果たします。

オッフェンバックのオペラをピーター・ダレルがバレエ化。ホフマンが経験した3つの恋物語を回顧していく。幕ごとにヒロインが異なるため、時代や踊りのスタイルなど、バラエティ豊かに楽しむことができる。出演は福岡雄大、井澤駿、奥村康祐、小野絢子、米沢唯、柴山紗帆、木村優里ほか。2月23、24、25日。東京・新国立劇場オペラパレスにて。S席1万4850円~D席4,950円。(撮影:鹿摩隆司)

Kabuki ● 十八世中村勘三郎十三回忌追善 「猿若祭二月大歌舞伎」

そして早いもので十八世中村勘三郎が亡くなって十三回忌。歌舞伎座では中村勘九郎ら中村屋が総出演して追善興行が行われます。昼の部では勘三郎の当たり役『籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)』の佐野次郎左衛門を勘九郎、大役・兵庫屋八ツ橋を七之助が。夜の部では『猿若江戸の初櫓(さるわかえどのはつやぐら)』の猿若を勘太郎が、『連獅子』の仔獅子を10歳の長三郎がそれぞれ初役で演じます。

「親孝行は何一つできていなかったと思いますが、これで少しは親孝行ができるのかなと思う」(勘九郎さん)

昼の部『新版歌祭文 野崎村』『釣女』『籠釣瓶花街酔醒』、夜の部『猿若江戸の初櫓』『義経千本桜 すし屋』『連獅子』。出演は、中村勘九郎、中村七之助、中村勘太郎、中村長三郎/片岡仁左衛門、中村福助、中村芝翫、尾上松緑、中村獅童ほか。東京・歌舞伎座。一等席1万8000円、二等席1万4000円、三階A席6,000円、三階B席4,000円、一階桟敷2万円。(写真は 2010年4月、歌舞伎座「連獅子」 十八世中村勘三郎、中村勘九郎、中村七之助 (C)松竹)

Musical●劇団四季『ゴースト&レディ』

劇団四季はオリジナルミュージカルを新たに製作。原作は『うしおととら』などで知られる藤田和日郎の漫画。看護の仕事を望むも周囲の反対にあい、絶望するナイチンゲールが頼ったのは芝居好きのゴーストだった――。『ノートルダムの鐘』のスコット・シュワルツの演出が観る人に人生の感動と生きる喜びを与えます。心に響く重厚な作品で内面に美と栄養を。

藤田和日郎の漫画『黒博物館 ゴーストアンドレディ』を『バケモノの子』の詞・高橋知伽江と曲・富貴晴美でミュージカル化。明日を生きる力を感じる作品が新生する。5月6日~11月11日、東京・JR東日本四季劇場【秋】。バリュー(平日夜)S席1万20 00円~C席4,500円。レギュラー(平日昼・土夜)S席1万3000円~C席5,000円、ピーク(土昼・日祝)S席1万4000円~C席5,500円。

『クロワッサン』1110号より

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