【舘ひろしさんインタビュー】クールなイメージとは一転。映画『終わった人』で 定年後の“情けない男”に挑戦。 | アートとカルチャー | クロワッサン オンライン
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【舘ひろしさんインタビュー】クールなイメージとは一転。映画『終わった人』で 定年後の“情けない男”に挑戦。

  • 撮影・中島慶子 スタイリング・中村抽里 ヘア&メイク・岩淵賀世 文・嶌 陽子

「日本の男は弱い。女性のほうがずっとたくましいね。」

ジャケット9万6000円(タリアトーレ)、ポロシャツ2万9000円(ジョン スメドレー)、パンツ3万400円(GTA/以上ビームスF 電話03-3470-3946)

お腹の出た初老の男が、冴えない顔つきでぼんやりと座っている。最新主演映画『終わった人』の冒頭に登場する舘ひろしさんの姿は、いつものダンディなイメージとは程遠く、思わず笑ってしまう。

「定年を迎えて、“終わった”けれど、気持ちの中ではまだ全然終われない。そんな切なさと可笑しさが入り交じった雰囲気が出るように意識しながら演じました」

本作は、ベストセラーとなった内館牧子の同名小説が原作。舘さん演じる、定年を迎えたエリートサラリーマン田代壮介が、もがきながら第二の人生と向き合う姿を描いたコメディだ。これまでずっと仕事一筋だった壮介が、昼間の時間を持て余したり、スポーツジムやカルチャースクールに通い始めたりする様子は、かなりリアル。黒木瞳さん演じる妻を温泉旅行に誘うも、忙しいからと一蹴されるシーンなど、観ていて「あるある」と共感する人も多いのではないだろうか。

「壮介もそうだけれど、日本の男は情けないですよ。肩書にこだわるのも、ずっと狭い組織の中にいて、その世界しか知らないから。女性のほうが、はるかにたくましくて、世の中を知ってるよね。たとえ専業主婦でも、趣味とか近所付き合いとか、ネットワークが豊富。男性よりずっと活動的だと思いますよ」

一方、壮介は、時に大失敗をしたり、家族に愛想を尽かされたりしながらも、決して前向きさを忘れない。舘さんがそのバランスを絶妙に演じることで、どこか憎めない、チャーミングな人物になっている。

「僕自身もすごくオプティミストだから、そこは共通しています。タイトルは『終わった人』だけれど、実は壮介にとっては、会社を辞めた日から次々と新しいことに挑戦する日々が“始まった”んですよ」

様々な災難に見舞われる壮介にハラハラさせられながら、最後には温かい気持ちになれる作品だ。

「生きている限り、人生に終わりはない。人はいくつになっても再挑戦できる。観終わった後、そんなことを感じてもらえたらうれしいですね」

夢なし、趣味なし、仕事なし、家に居場所なしの男を熱演。

『終わった人』
6月9日(土)より、全国ロードショー。監督:中田秀夫 脚本:根本ノンジ 出演:舘ひろし、黒木瞳、広末涼子、臼田あさ美、今井翼、田口トモロヲ、笹野高史ほか。上映時間125分。

舘 ひろし(たち・ひろし)●俳優。1950年、愛知県生まれ。’76年、東映映画『暴力教室』で俳優デビュー。ドラマ『西部警察』『あぶない刑事』、映画『あぶない刑事』シリーズなど、数々の作品に出演。

『クロワッサン』973号より

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