大学が京都だったため、4年間の京都暮らしをした宇垣さん。着物を着る機会も多かったのでは?
「アルバイトで川床のお運びをしていました。着物がある程度着られることが採用条件でしたが、以前から母に浴衣の着付けを習っていたので無事に。でも、いざ現場で着てみるとわからない部分もあり、先輩方に教えてもらい、きれいに着られるようになりました。そういえば最初『たすき掛け』ができなかったんです。紐をどう回せば袖がたくし上げられるのかがわからなくて……」
毎日、袖に紐を回す練習を続け、そのかいあり、さっとできるように。
「夏に友人たちと浴衣で祇園祭や大文字の送り火などに出かけるときは、4〜5人の浴衣の着付けを一手に引き受けたことも。これも楽しい思い出です」
実家には母や祖母、叔母の着物がたくさんあり、まだ自分で着物を購入したことはない。
「サイズ直しの必要がないものが多いので、それらの着物を大切にしたいです。着物と帯を選び、小物とのコーディネイトをどのようにしようかと悩むのも楽しいひとときです。帯や小物類のあしらい方ひとつで全体の雰囲気はガラリと変わります。そこがおもしろいし難しい。いろいろと学び、着物の醍醐味を味わえるようになりたいと思います」
さらに、着物の魅力について聞くと、
「背筋がすっと伸び、気持ちが変化するところ。祖母たちの着物を着ると元気がもらえ、パワーが流れ込んできて活力になる。プラス守られているような気持ちにも。風化しないところもすごいと思います。今回の着物も私が生まれたときにはもう存在していて、それを成長した私が着ている。着物は代々受け継ぐことができるといいますが、実感ですね。今後は受け継いだ着物に負けない自分でいたい。そして、年齢に見合った装いで楽しみたいです」