「来るな。俺は大丈夫だ」。
道長(柄本佑)の心の声を受け止めるまひろ(吉高由里子)。ふたりの心が既に結ばれ始めている証だろうか。道長の身元が明らかになれば、確かに彼は大丈夫だと思うが、右大臣藤原兼家(段田安則)の息子で官位もいただいている貴族をどつきながら乱暴に捕縛した放免らはきっと大丈夫ではない。
放免とは都の治安維持にあたる検非違使の、下級官吏のこと。前科者を採用していた。囚人から放免された人間だから「放免」という。2話(記事はこちら)では荷物を抱えていただけらしき人を盗賊だと殴りつけて捕まえようとしていた。当時の荒くれ者なら、盗賊を捕らえた者には褒美を出すというお触れを聞けば、冤罪であろうと捕らえてしまえという発想になってもおかしくない。
しかし同じく2話で兼家が政策提案をする前には盗賊が跋扈し、検非違使の働きが鈍い現実があったのは確かだろうし、政とは難しいものだ。
やや重たい考えを巡らしている間に、父・兼家から叱責を受ける道長の場面。
父からの厳しい言葉をのほほんと躱してゆく道長、
「私は三男ですので」
「わしも三男だ!!」
このやり取りに笑ってしまった。このドラマ、緩急というか笑いどころの挟み方が巧い。